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張りぼて、そして始まりの予感

僕はつぎはぎの張りぼてだ。いつからここにいるのかはわからない。気が付いたら、ここにいた。その前に、どこにいたのかは思い出すことはできない。見渡す限りきれいな草原が広がっている。空にはいくらかの雲があるだけで、青い空が広がっている。どこか懐かしさを感じている自分がいる。心地よく風が時々やってくる。確かに僕の身体がそのような風を感じている。だけど、自分の身体を見ようとしても、なぜか見ることが出来ない。自分が何者なのか、張りぼてであること以外には、何もわからない。手がかりすらない。しいて言うなら、今僕が見ている景色に対して、懐かしいものを感じている自分がいるということくらいだ。

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