hamana

旅すること、食べること、音楽を聴くこと、想像することが大好きです。 ”PHOTOL…

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旅すること、食べること、音楽を聴くこと、想像することが大好きです。 ”PHOTOLOGUE”――こころの断片を写真とことばに託してみています。

最近の記事

年月(としつき)を経て

つい自分と同じように思ってしまう 自分も同じように年を重ねているのに 相手との年齢幅は縮まらない そうして 同じように年を重ねているのに つまり 同じように老いている 自分が年を取ったと感じるならば 相手も年を取っている あのときと同じようには足が動かなくても それはそうなのだ はじめて会ったときから20年近く経つのだから 多少の不自由があってあたりまえ 年月を経て 年月を経て まだ地上にいる今 またお会いしようねと約束する まだ地上にいるの

    • 遠くへ

      遠くへ旅立つひとがいる 遠くへ 遠くへ 春の花の色が似あう方だった その季節に旅立つ あたりまえに「またよろしく」と言われて別れたあの日 あたりまえではなかった 「またよろしく」の先は  遠く 遠く 天の国

      • もしも

        もしも 怒りを爆発させたら もしも 感情的に叫んだら なにか変わるのだろうか もしも 怒りを押し隠したら もしも ただ静かに微笑んでいたら なにか変わるのだろうか どちらの行動を選択するのがよいのか あるいは どちらも選択しないか もしも  もしも もしも 想像して 想定して 決めるほかない もしも もしも もしも 「もしも」は試せない やりなおせない 頭の中だけに存在する世界

        • 呆然と

          雪解け水が流れることにたとえるべきか 単に雨滴が樋を伝って地下へ落ちていくと言うべきか なにかが遠くへ進んでいく感覚 自分の中から何かが遠くへいってしまう 大切なものが少しずつ流れ出ていたのだという感覚を ただ伝えたいだけなのだ 自分を離れて 誰のものにもならず 消えていく ただただ地に沁みこみ それが何であったかもわからぬ形で 消えていく 両の手を広げると いかに無になっているかを目の当たりにし 失われたという事実に向き合う 自分の中の何かが失

        年月(としつき)を経て

          更地の前で

          更地っていいよね なにもなくなる なにをもなくならせた場所 そこになにがあったかを忘れてしまう 記憶をたどって 思い出せること 思い出せないこと  どちらもある どちらの場合であってもわかるのは そこはそういう場所だったということ 思い出せる場所 思い出さなくてよい場所 そういうこと ひとはそうやって  どんなことでも要不要を選別しているのだということ (タイトルの写真は「更地」ではありません)

          更地の前で

          傷と気づきと

          二つの出来事があった。 取るに足らない、ちいさな出来事ではあるが、二つのうち一つには、少しばかり傷ついてしまったので記録しておこうと思う。 一つめ。 打合せのときに、問われたときにはどう答えるべきか、つまり回答に困る質問があった場合にはどうしたらよいか、との質問があった。 回答すべきは組織としての方針で、回答者によって差が生じてはいけないと思うから、ということであった。 しごくもっともではあるし、間違いではない。 しかしながら、しょせん「他人事」のように感じているようにも思

          傷と気づきと

          取捨選択

          考える。 やめる。 考えるのをやめるのではなく 組み立てていた考えをやめる。 ただ、道筋を立て直す。 それまでの考えを消す。 消える。 取捨選択が、自分でできないこともある。 消さずに残したい瞬間に、消えていってしまうこともある。 すべすべした机の上に流れていく細かい砂のように、 消えていってしまうことが。 残らない。 消えてしまう。 でも、いらないものだったと思う方がよい。 とらわれていると、ただその言葉だけが残る。 とてもよいもののように思えることもあるが

          取捨選択

          ごぶさた。

          いろいろなことがあって―― と言うほどにいろいろあったのかどうかは別として、 日常に負けてここで何かを表現していこうというエネルギーが完全に足りず、 この場所からすこし遠ざかってしまっていた。 満月の夜。 友人に案内されたレストランで、じっとサラダを見る。 コンビネーションサラダ。 ほどよく冷えて、いろどりも盛り付けも優等生。 たっぷりと箸でつかみ、みずみずしさをほおばる。 しゃくしゃくとした歯ごたえ。 かぶ。 だいこん。 にんじん。 きゅうり。 かいわれ。 レタス

          ごぶさた。

          自分は捨ててしまったのだ。 いや、もともと覚悟が足りず、できていなかったのだ。 知っていたよね。 わかっていたよね。 自分にはいつもぶつかる覚悟がないこと。 厳しい評価にさらされることや、努力を強いられることから逃げていること。

          自分は捨ててしまったのだ。 いや、もともと覚悟が足りず、できていなかったのだ。 知っていたよね。 わかっていたよね。 自分にはいつもぶつかる覚悟がないこと。 厳しい評価にさらされることや、努力を強いられることから逃げていること。

          夜中に目が覚める。 雨の音。 窓を開けて寝てしまっていた。 空がうっすら明るいように見えたのは、気のせいだった。 直前まで見ていたなにかの夢と混同していたのに違いない。 とはいえ、その夢の映像さえ、砂時計の砂のようなさらさらとした感覚で、遠くに消えていってしまっているので、ふたしかだけれど。 隣家の屋根にあたる雨の音。 かなりの量の雨粒。 梅雨でもないのに。 そして、台風が近い雨にしては、まっすぐな音だ。 不安を覚える。 といって、それは台風やそれに伴う災害に対する

          わたしより若いひとたちの、ちょっと苦しげな様子を見ると、 少しく悲しくなる。 そして、ひとつ気づいたことがある! 朝から老けこんだ表情をしているひとたちに共通しているのは、 つねに不平不満をつぶやきつづけているということ。 書き留めておきたい気がする。のちの自分のために。

          わたしより若いひとたちの、ちょっと苦しげな様子を見ると、 少しく悲しくなる。 そして、ひとつ気づいたことがある! 朝から老けこんだ表情をしているひとたちに共通しているのは、 つねに不平不満をつぶやきつづけているということ。 書き留めておきたい気がする。のちの自分のために。

          とらわれない

          案外、自己顕示欲があったのだと気づく。 もちろん、ここにこうしてなにかを残そうとしているのだから、あって当然のことでもある。 が、しかし。 人と比べて、「なぜ?」を繰り返すようなことが続いた中で、ふと気づく。 他に対して、批判的視点を忘れずにいることは大切だが、しかし、それに とらわれないでいたい。 他人が、自分を頼らずに世の中に出そうとすることは、当然あるのだ。 わたしの手と目を経る必要がないもの――と判断されることが。 それはわたしにそのスキルと眼力、あるい

          とらわれない

          たしかに在る

          生きづらさをかかえる――とはどういうことか。 いつもどこかでその疑問がふうわりと浮いてくる。 答えは見つけにくい。 けれど、 たしかに在る。

          たしかに在る

          人知れず

          人知れず涙をこぼす ひとりでいる時間に ひとりであることに ひとりでいい ひとりがいい そう思えたらいいのにと 涙をこぼす つらいのだろうね 自分の中でぐるぐると考えをめぐらし やりばのない 出口のない 心もちにもどかしさを覚え そうして やがて 苦しくなる 苦しくなる 苦しくなる …… …… でも いま わたしは「聴く」だけにしよう 同じような思いがあったとして ことばにしたとして それはまだ あなたに届かないから ただ ここにいよ

          祈り

          何の奇跡が起きなくても 祈らなければならなかったのではないか 奇跡は起きないかもしれない いや ほぼ起きない そう思うから起きないのだとうそぶくひともいる そうかもしれない でも そんなことはともかく なにか心の底から本気で 全身全霊かけて 奇跡を求める祈りを 切実な思いを しぼりだして しぼりだして 祈らなければならなかったのではないか たとえ自分の望む奇跡が起きないのだとしても

          満月前夜

          月は思考の象徴かな。 案外と近しいところから裏切られるんだな と思わされた悲しい夜に、 ぼんわりのぼっているのを見た。 そうなんだね。 「孤独」という力強さをもちたい。

          満月前夜