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好きの理由〜想いよ届け〜

癒えない思いが胸の奥底にある
もう何年も僕の心は乾ききったまま
あの日2人で聴いた懐かしいアイドルソングが、街の中から聞こえて
君を忘れていたはずの僕の心を潤していく
君に言えなかった思いが、僕の心のドアを叩いてる
きっかけなんていつも突然で
理不尽なことで覆い尽くされる世の中だけど
想いを伝えずに死ぬのはごめんだ

ピスタチオ姉さんに聞いてみた
何年も心に隠していた想いを、伝えるのは気持ち悪いですか?
いいえ、そんなことありませんよ。気持ち悪いだなんて思いません。
そう言ってピスタチオ姉さんは優しく微笑んだ。

僕が君と出会ったのはもう随分と前のこと
大学生の時、僕が4年で君が1年で
とても綺麗な見た目をしていたけど、とても冷たい印象を抱いた
それから2年が経って
僕は君に再開する
君が好きだと言ったアイドルを観に行くと
君は見たことの無いような笑顔を僕に見せた
とても可愛らしくって、愛おしくって
一緒に色々なところを歩く度に、君の新たな一面が見えて
怒った顔も笑った顔も悩んだ顔も
その全てがキレイなもので出来ていた。

君と並んで歩くうちに
僕は君を好きになった。

僕は君を横で眺めているうちに、君の笑顔を失いたくないと思った。
君を好きだと伝えられたなら、どれだけ楽だっただろうか。
君が横にいる時間が長くなるにつれ、僕の気持ちは風船のように膨らんで、いつ爆発するのか分からないほど苦しくなっていった。

ある日の帰り道、駅に向かって並んで歩いていると、僕は君に伝えたくなって、少し言い淀んで、口が閉じた。
自分に対する不甲斐なさや情けなさより、君を失うことの不安が勝っていた。

それから暫くして、僕はこの思いをどうやって伝えようかと、いくつもの夜を越すうちに、君に嫌われたくない思いでいっぱいになっていた。
言ってしまうと、いつか君が遠くに行ってしまうようで、どうしようもない気持ちに駆られて

僕は君への連絡を一切取らないようにした。
好きになればなるほど恐怖は膨らんで
君を遠ざけることで自分を保つことを選んでいた。

何年も経って、僕は君を記憶の片隅に追いやることができた。
もう大丈夫。
そう言い聞かせて、ずっと過していた。

それなのに
不意に聞こえたあの日2人で聴いた曲が流れると、涙が溢れてきて、止まらなくなった。

好きと言わなかった自分が、どうしようもなく悔やむ気持ちが、僕の胸を掻き毟る。

忘れていた記憶が甦り、愛を伝えずにはいられなかった。

僕は走って君のいる町に向かいたいけど、もう何年も連絡をとっていない。
君が今どこに住んでいるか分からない。
君に彼氏がいるのか、君が結婚したのかさえ分からない。
ただそれでもいいと思えた。
君に気持ちを伝えたくて、僕は叫んだ

できる限りの僕の想いを
君に届けたい。
たとえどんなに嫌われたっていい。
気持ち悪がられたっていい。
ただ君に想いを伝えたくて
夢中では走った

ピスタチオ姉さんは言った
思い留まってるの?ここまで来て。
そうさ。あと一歩が出ないんだ。
情けないだろ?
ううん。そんな事ないよ。ちゃんと思いを伝えようとしてるなんて、偉いね。
そうかな?
僕は自分が気持ち悪く思われるのがとても怖くて怖くて、今にも挫けそうなんだ。
だけどそれが貴方の答えでしょ?
なら想いをそのまま伝えればいいのよ。
だって人を好きになる気持ちは、どんなことよりも美しいのだから。

僕は無我夢中で、想いを整えた。

僕が君を本当に好きになった理由。
なぜ今君に伝えようとしたのか。
なぜあの時君に伝えられなかったのか。
胸に閉まった思い。
君を思い出した理由。
君に彼氏がいるのか、結婚しているのか、子供がいるのか
それでも僕は君のことが好きなんだ。
今も昔も、君のことが好きなんだ。

今、君に伝えなきゃいけないことがあるんだ。
君が好きです。
僕と付き合ってもらえませんか?

お返事待ってます。

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