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仮病から発覚した卵巣腫瘍

20歳代前半、私は、学校給食関係の営業事務をしていました。
職場は、おじさん、おばさんばかりの職場でした。みんな優しく面倒を見てくれる人ばかりでした。ここでは、人間関係に悩むということはありませんでした。ただ人と関わるのが苦手なのは変わりませんでした。
このことが起こる2か月前、社長が仕事の最中に意識が無くなりいびきをかくような感じで、皆最初はびっくり、すぐ救急車を呼び搬送。その時心肺停止にまで陥ってしまいましたが、応急処置のおかげで一命はとりとめました。でも社長は、復帰は無理となり息子さんがいましたが、ワンマンでやってきたらしく、会社はたたまなくてはいけない状況になりました。
自分が担当する地域、学校も決まっていて担当の営業さんも決まってたので、仕事でできないとか迷うとかいうこともなく安定していたし、職場の雰囲気もよかったので、ずっと続けたかったと思えた会社でしたが、3年経つ少し前に辞めることになりました。その少し前の出来事です。

急に午後から帰りたいとか思ったことありませんか


私の欠点だったのは、あきっぽい、すぐ諦める、人の言ったことにすぐ影響されるということがありました。単純だったんです。自分を持っていなかった。今では考えられませんが、会社の人に「少し休んだ方がよくない」「きょうそんなに忙しくないし大丈夫だよ」と言われればそのまま素直に受け止め、「お腹痛いんで帰ります」と言っちゃうぐらいいい加減でした。

よく今の職場でも、「午後から帰る~」「明日休むね~」とかいう人もいますが、本当に休む人はいません。
それが仕事ですよね。自分の決まった日にち、決まった時間働く。帰るのはよっぽど具合悪くて周りにも迷惑がかかるとか、急な帰らなければいけないような緊急事態が生じたとか。そういうことが起こった場合ですよね。

当時の私は違いました。働くといった概念がわかっていなかったんだと思います。しかも、会社が無くなるということが大きかったのかもしれません。

良くしてくれてる人たちにはじめての嘘

私はとうとう普段本当のお父さん、お母さんのように思ってくれている人に嘘をつくことになります。
私は20歳の時に、母をガンの再発でなくしました。それからは、兄弟もいないので、父と二人暮らしです。なので職場にいる人たちが家族のような存在でもありました。なのにもかかわらず仮病を使ったのです。
「すみません。お腹痛くて・・・」と。
そこから大騒ぎに。
「大丈夫?」
「どこが痛いの?」
「どんな感じで?」
質問攻めにあいました。みんなすごく心配してくれました。

病院行きが決定

1人の事務の女性が電話をかけ始めました。
え???   もしや救急車??
心の中は変な汗で土砂降り状態に。

電話していたのは、その女性の妹さんで看護師さんをやっているかただったのです。
状況を細かく説明。自分でも仮病のはずなのに聞かれたことには細かくこたえられてしまっている自分にびっくりしました。
すぐに病院に行った方が良いと言われ、読んでくださってる方は、もうお気づきですよね。そう、素直に病院に行きました。なんとも早く帰るはずが、午後からの診察って3時からのところが多いんですよね。結局三時まで仕事してしかも病院が会社の目の前に・・・・

医者からの衝撃のひとことからはじまった

病院についても何も緊張することもなく、早く終われば良いなあ。
これじゃあ、早退するっていった意味もなくなるなあ。なんてのんきなことを考えていました。


耳を疑う言葉

「あ~かなり大きいね~」
触診だけで??何が???
ずっと放心状態になってる私に先生が
「腫瘍があるね。手術すれば大丈夫だから。すぐ詳しい検査をしたほうがよいけどここじゃできないから紹介状書くから検査受けてきて」と・・・・

待合で待ってるときは、頭が混乱していました。それは、当然ですよね。仮病だったので。いろいろ考えました。

罰が当たったのかな
母親からの天国からの忠告かな
もし、重病だったらどうしよう
彼(今の旦那さん)になんて言おう

紹介状の準備が終わりすぐ見てくれることになり次の病院へそのまま行くことになりました。

どんどん手術確実の方向へ

次の病院で待ってるときは、さすがに緊張どころじゃありませんでした。
ネガティブな方なので、「私このまま死んじゃうのかも」なんて思ったりしたものです。

すぐ検査室に回され、CTを撮って診察へ。
まるっきり同じ診断。というよりプラスされて「卵巣に腫瘍があって両方にまたがってるくらい大きくなってしまってる。
手術すれば大丈夫だから」とのこと。
両方にまたがってる??

 卵巣は、最も腫瘍が生じやすく、また、様々な種類の腫瘍ができやすい臓器だといわれています。腫瘍ができる場所として最も多いのが、卵巣内部の表面を覆う「上皮」です。次に卵子の元になる「胚細胞」、多くはありませんが、「卵胞」にできることもあります。

 卵巣に腫瘍ができても、初期では自覚症状が乏しく、腫れたり内容物がたまって卵巣が肥大して初めて気づくケースが多いようです。

こんにちわ 2007年5月号:メディカル・ライフ教育出版 より転載

結局二番目の病院でも手術はできない為、またまた紹介状を書いてもらうために病院を選び(候補は数か所あげてもらってました)、待合室で待機。
もう、頭は真っ白、彼にも電話で伝え、父親にも連絡し、みんなびっくり。
何も知らない二人は、そもそもなんで病院?からはじまり説明が大変でした。
会社への報告も忘れてたと思い、電話をし、皆私からの連絡を待っていてくれたんです。

会社の人たちの温かい言葉


会社の人たちの温かい言葉が何十年経った今でも忘れられません。
会社に戻るとみんな定時過ぎているのに待っていてくれました。
私が電話した後みんなで残ってようと話してくれていたようでした。

仮病は、ばれていた

なんと私が会社に戻ったらみんなに「大丈夫か?びっくりしたよな~仮病だったのに~」と笑いながら言われました。
ばれてたんだ・・・・私は恥ずかしいのと同時に仮病だとわかっていながらいろいろ調べて聞いてくれた人もわかってたと知ってわかっててそんな心配をしてくれたんだ~と涙があふれてきたのを覚えています。
その人は、以前同じ経験をしたことがあって(仮病ではなくお腹が痛いのと張り)もしかしたらと思ったらしいです。卵巣は一個まるまるともう一個の半分を切除しました。その人がいなかったら仮病を使わなかったらと思うと私の人生が180度変わっていたかもしれません。


まとめ


最後まで読んでくださってありがとうございます。私は、そのあと二週間後の入院だったので会社が倒産してからの入院予定でした。最後までその会社の方々と働けたことを心から感謝してますし、保険の問題とか心配ないように手続きをやってくれて、病院まで届けてくれたり、私が当時あった借金もこれを機にすっきりしてやりなおしてと専務が返済してくれて・・・
この会社と出会って人と関わることが苦手なのは、正直克服できてはいなかったですが、人の温かみを心の底までしみてきた経験をしました。
皆さんも人の温かみを経験したことがあると思います。
たまに思い出すことも大切ですね。








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