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静詩我像(せいしがぞう)

孤独の中で眺める景色。
そこから、生まれる感情。
優しさ、切なさ、愛おしさ……
切り取られた、一枚の静止画の世界。

無音の景色

何もかもを
呑み込みそうな
静寂世界を
写し出す

帰る時間(とき)は
生まれる前の
母なる宇宙(そら)に
揺蕩い流れる

人の営み
生の苦しみ
狭間に抱く
わたしの心

あなたの救いは
何処にあるのか
わたしの癒しは
何処にあるのか

さすらい旅して
優しい感情
傷つき疲れ
ここにたたずむ


岬に立って

海流が運ぶ
流浪の果てに

流れ着いた
こなたの岬

波、打ち付ける
音、聞いて

遥か見渡す
かなたの水平

遠くを流れる
雲を追い

どこか見知らぬ
世界を夢見る


にわか雨

サーっと
優しく降る雨の
つつむ優しさ
涙雨

ザーっと
激しく降る雨の
理不尽極まる
怒り雨

不意に降り出し
刹那に止んで

あとに残るは
雲間の青空


静謐の湖畔

さざ波立たない
鏡の湖面に

小雪が落ちて
波紋を広げる

写る世界は
静かに揺らめき

梢を揺らして
小さく騒めく

耳をすませば
冬のささやき

わずかに聞こえる
湖畔のベンチで


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