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嫉妬の色は、みどり色

昔読んだ漫画にそう描いていたので、私はクリームソーダやメロンソーダを飲むたびに「ああ、自分はいま〈嫉妬〉を飲み干しているんだな」と思うことがある。
というわけで、先日知人と電話をしたときに嫉妬の話になったので、思考整理のために嫉妬について話したい。

私は、秋生まれの天秤座なのだが、誕生日占いの本には必ずと言っていいほど「嫉妬深い」けれど「束縛を嫌う」と書かれている。
つまりは、自分は束縛されたくないけれど他人に対しては「行動を律しろ」と要求する、理不尽極まりない性格であるらしい。
普段の自分に当てはめてみると、ああよく当たっているなと思うところもあれば、いやそんなわけあるかい!と突っ込みたくなるところもある。
そもそも、嫉妬をしますか?と訊かれたら、先日は知人の手前、格好つけて「あんまりしないかも」と答えたけれど、やはりそれは建前で、人並みに嫉妬も持ち合わせているのである。
過去に縁があった男性たちは、向こうから私に積極的に興味を持ってくれたことが多かったので幸運なことに嫉妬で苦しんだ記憶があまりない。
趣味も、それなりに持っている人間なので、恋人が異性、同性問わず誰と飲みに行こうと自由にして貰ってそんなに傷付くこともないのである。
※注※元カノの家に行ったり、異性と二人きりで旅行とかは嫉妬するけれど。

では、一体どんなときに嫉妬と関わりがあったのかというと、私本人に向けて矢印を向けられたときだ。
向けられる相手が彼氏⇒自分なら、文句はない。愛されている実感がして、嬉しいと感じる女性が大半だろう。

けれど、思わぬ方向からの矢印だったとしたら?

……そう、基本的に私に向けられた嫉妬は、彼氏からではなく「彼氏の元カノ」や「彼氏が付き合う前に一晩を共にした相手」からなのである。

いまでも脳裏に焼き付いているのは、大学時代に付き合っていたきつね先輩と、一夜を共にしたひよこさんの記憶だ。
私(大学4年)ときつね先輩(大学院生)は、墓地研という東京近郊の墓地を巡るサークルを通じて出逢い、付き合うことになったのだが、二人がまだ両片想いのふわふわとした時期をSNS上で楽しんでいた頃に

「わたしのきつねさんを盗らないで下さい」

「わたしたち愛し合っているんです」

というリプライがTwitter上のアカウントに飛んできた。
いまどき、少女漫画のヒロインでもキラキラの目玉をひん剝いて言わないような台詞だ。
「わたしの彼を盗らないで」
めちゃくちゃいじらしくて、二次元の世界ではきゅんです、と思わず指ハートしたくなる台詞だと思う。
(過去に言った人、言われた経験のある人はコメント欄に書いていってください)

けれども、現実世界ではそうはいかない。
人間関係のトラブルとは極力関わり合いたくない私は、秒で彼女に
「まだ付き合ってないし、私に言われても困るから本人に言って欲しい」と
返信したところ、彼女と先輩双方から長いダイレクトメッセージが来ることになった。
要約すると、私と出逢う前にひよこさんと身体の関係を持っていた先輩が、彼女のラインをブロックして、関係を清算したつもりになっていたとのことだった。
「真面目にあなたと付き合いたいから、清算したことが裏目に出た」と、のたまう。まだ異性と付き合った経験が少なかった私は、清算がブロックというのは乱暴であり、ひよこさんが可哀想だと思ったので、「彼女が可哀想だから、きちんと話しあった方が良いと思う」と伝えた。(こういう相手とは絶対に付き合ってはならないし、当時の私は、本当に頭が足りていない阿呆だった)
ひよこさんから私に対して悪意を持ったリプライが来ることは無くなったが、そう時間が経たずして、きつね先輩には手をつなぐまでの清い関係のままで振られてしまったのである。

別れ話のときに、きつね先輩に

「どれだけ私があなたのことを好きでも、あなたは私に背中を預けてくれない」「あなたは一人でなんでもしてしまう」


と言われたのだが、
まだ20代で血の気の多かった私は

「何が言いたいのかよく分からないんで、A4のレポート用紙1枚に別れたい理由を具体的に書いて持ってきてくれませんか?」

と答えた。

もちろん別れてから八年経った今でも、彼から別れたい理由を書いたレポートは届いていない。
「きっと、そういうとこだぞ」とこれを読んで呟いたあなたは、正しくて嫌いだ。

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