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『世界ふしぎ発見!が終わってしまう』

 『世界ふしぎ発見!』は子どもの頃から見ていた世界の不思議をクイズにする番組だ。なぜ黒柳徹子が知的なのか、司会の草野仁はなぜ筋骨隆々なのか、海外リポーターの礎を築いた竹内海南江はどこに行ってしまったのか、野々村真のボケはなぜほかで通用しないのか、板東英二はゆで卵と言いながらなぜ消えて行ってしまったのか。

 自分が成長するにつれて番組についてわかることとわからないことがある。


 それはそれとして、『世界ふしぎ発見!』ほど子供が、世界の知的な歴史、知性に触れる番組はなかったのではないか。『世界ふしぎ発見!』を見て、学者を志した人も多いだろう。

 まさに「インスパイアザネクスト『次世代に刺激を』」という日立のキャッチコピーを体現したような番組だった。


 日立は、コロナ禍で中国への依存度が明るみになり、業績は悪化。サプライチェーンを考え撤退を検討。現在はエヌヴィデアとの関係により、二年前から2倍の株価となっている。


 だったら残しておいてくれと思うが、黒柳さんも90歳、草野さんも80歳。勇退してほしいとは思う反面、誰も後を継げなかったのかと日本の人材不足を体現している。

 爺みたいなことを言うが、最近のテレビには知性が少なくなってしまった。専門家は出てくるものの発言の切り取りや番組の意向に沿う話ばかりをするようになってしまった。


 次世代への長期的な刺激が消えてしまうことが非常に寂しい。特に人類史に対する情報接触機会は乏しくなっている。エジプトが日本でこれほど人気になったのも、この番組のお陰ではないか。これから先は自ら能動的に次世代へと向けて、情報を得ないといけなくなった。


 テレビの視聴は無料で、受動的だ。スマホの動画視聴も受動的だ。刺激を追い求めて能動的に知識を得る時代が到来し、ますます知性の格差は広がるばかり。


 まだ最終回を見ていないが、今のところ次世代への引継ぎ失敗。もしかしたら、AI学習における先を見据えているのかもしれないと期待しながら、最終回を見た。




 ただただ面白かった。

 世界の歴史を学ぶということに、もっとコミットしていかないといけないと思えた。番組放送中になくなった文化遺産というのがある。行けなくなった地帯がある。消えた民族がいる。今生きている人間として、もう少し謙虚に調べなくてはいけないと思ったし、格差が開いていることも感じた。


 端の方だが、コンテンツを作る者として、品性について考えることが多かった。それは草野仁の公平さ、黒柳徹子の知的好奇心、野々村真の愛嬌は忘れてはならないと思う。

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