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早稲田から箱根へ、そして世界へー初の海外遠征へ①

2023年8月29日
箱根の頂点へ、そして世界へー
そう銘打って多くの方々からご支援いただいた早稲田大学競走部・駅伝強化プロジェクトのクラウドファンディング。
目的の中で私が一番実現したかった『個の強化』のための海外遠征にいよいよ出発することになった。
目指すは9月2日に行われるプラハ10kmロードレース。世界のトップクラスが集まるハイレベルの大会で、過去には世界最高記録も出たことがある。そんな大会に早稲田大学競走部から石塚陽士、伊藤大志(ともに3年)、山口智規(2年)の3人を連れて、22時30分成田発・ドバイ経由のエミレーツ航空便で出国した。
石塚にとっては初の海外遠征で、伊藤・山口も今年3月の香港遠征以来、二度目の海外レースとなる。

思い返せば私の初海外遠征は、大学3年の3月に行ったリスボンハーフマラソンであった。
その遠征は当時、早稲田大学競走部のコーチであり、エスビー食品陸上部監督であった瀬古利彦さんと、ホンダ技研陸上部監督の碓氷哲雄さんが、実業団の若手と箱根駅伝で活躍した各大学の主力の育成のために企画したものだったように思う。20人近い大人数での遠征で、リスボンでの宿舎は現地のスポーツセンターのような施設だった。遠征慣れしている選手たちは、口々に『今回の遠征はひどい扱いだなぁ。』と言っていたが、パスポートを取得して3年目にしてようやく掴んだ初海外遠征だった私にとっては、パンとチーズとハムしかない朝食も新鮮で、狭くて硬いベッドも『これが外国なんだ!』と変に感動したりしたものだ。
レースは大きな橋の上からのスタートで、いきなりものすごい下り坂で、世界のトップ選手が私たちの全力に近いスピードで飛ばしていく。
それに負けじと私も当時5000mの自己ベスト(13分58秒)を更新する勢いで5kmを通過。
終わって見れば総合11位、最後は仲村明さん(当時富士通、現順天堂大学教員)にゴール前で競り負けて、日本チームの中では2番目。タイムは1時間1分58秒で学生新記録だった。
同レースで優勝した選手が人類初の1時間切りを達成したことで、後にコースの再計測を行われると、90mあまり短いことが判明して、半年後には私の学生記録も幻となってしまった。
記録としては残らなかったが、とにかくスタートからゴールまでずっと全力で無我夢中で走った記憶だけは今でも鮮明に残っている。
またその経験が、学生レベルにあった私の意識を世界へと向けさせたことは間違いない。

今回の遠征は彼ら3人の競技人生にどんな影響を与えることになるだろうか。性格上、ついアドバイスしたくなるのだが、少しは私も我慢して見守ることにしようと思う。