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期せずして静かな作品が続くことになりました。
思うに……大きな起伏はなくても、日常で小さなことが起こっていく、そんな繰り返しの話は好きみたいです。

朝は近所の人の竹箒の音がする頃に目覚め、支度して渋谷のトイレへ出勤。清掃員の平山(役所広司)の日常です。仕事が終わったら銭湯へ。馴染みの居酒屋へ行くと「お帰り」と声がかかります。古いアパートへ帰宅して布団を敷き、文庫本を読みながら寝落ちする、そんな日々 ──。

平山は無口ですが、孤独ではないようです。むしろ、無口ゆえに信頼されているのかもしれません。”何を考えているかわからない”というより、画面からはひたすら実直さや、風を感じ、木漏れ日を喜ぶような幸福感が伝わってきます。

姪のニコ(可愛い)が家出して、平山の元へやってきます。あまり理由も聞かないし、帰れとも言わず、少し口数も多くなったような……?
可愛い子を連れていたからか、平山が喋っているのを見たからか、銭湯の常連おじいちゃん達があんぐりと口を開けて見送るのが可笑しかったです。

そのニコを連れ戻しに、ニコの母・平山の妹がやってきます。運転手つきの高級車で。過去に何かあっての、今のこの差なのでしょうか。それぞれの心の傷が少し垣間見えるのですが、多くは語られません。

その妹が「世話になったわね。これ、好きだったでしょ?」と差し出したのがトップ画像の袋だと思うのです。えっ、クルミッ子!?意外な一面を見ました。真面目、実直、丁寧……に「可愛い」がプラスされました。

「今は今、今度は今度だ」
平山はニコに言います。そう、大切なのは「今、ここ」ですね。

国際映画祭の受賞作品を「受賞した作品はどんなかな」という理由で観ていた時期があります。観客賞は良かったのですが、監督賞や作品賞はあまり合わないことが多く、賞よりはストーリーで選ぶようになりました。

ですが、役所広司さんが最優秀男優賞となれば話は別。清掃員のユニフォームもお似合いでしたが、レッドカーペットもお似合い。

特に最後のシーンなど、だから最優秀なのよ……と堪能しているうちに「うっそ、もう2時間経ったの!?」と驚いてしまいました。

買取もやっているレコード店主が……あれ?松居大悟さんではありませんか。脚本は高崎卓馬さんですし、J-WAVE繋がりでこんな記事(↓)を見つけました。

高崎さんの番組『BITS & BOBS TOKYO』は、毎回ショートストーリーを誰かが演じていて、先日は役所広司さんの回をアンコール放送していました。まるで平山だったから、最初に短編を作ろうとしていた時のものだったのでしょうか。淡々と清掃をするうち、徳が積まれていくという話でした。

ところで、TOHOシネマズのサイトでチケットを買う時に、登録していたカード情報が消えていまして。1年以上空いたっけ?と思いましたら、2022年4月のファンタビが最後でした。なんとまぁ……最近TOHO(というかシネコン全般)で観ていないなぁとは思っていたのですが。

シネマイレージカードで決済していて、TOHO専用みたいになっています。これで払っている限り、カード会費はかからなかったはず。ただ、昨年は危ないと思って、他の映画館で観る時にシネマイレージカードで決済しました。セーフ!(多分)

#映画 #映画感想文 #PerfectDays #役所広司 #カンヌ #TOHOシネマズ

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