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ビーズ等では知名度も高く入手もしやすいので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

※宝石学の世界で「ビーズ」とは、穴の開いた形状を指します。ダイアモンドでも穴が開いていたらビーズです。

パワーストーンでお馴染み

インカローズですね。その名は「主要産地にちなむ」とあって、主要産地はどこだっけと調べると……アルゼンチンでした。日本でも北海道産はよくみかけますし、茨城でも出るそうです。

原石

ロードの意味🌹

ロードクロサイトの他、ロードナイト、ロードライトガーネット等についているロード(Rhodo)は、バラという意味です。

縞模様も特徴です

ロードクロサイトとロードナイトは自色性鉱物と言って、主成分であるマンガンが色因ですので、必ずピンク~赤色を呈します。
(主成分以外の微量成分が色に影響する鉱物は、他色性鉱物と言います。純粋なコランダム(酸化アルミニウム)は無色ですが、微量のクロムが入ると赤いルビー、鉄が入ると青いサファイアになります)

稀少なのはこれ!

教科書にこうあります。
『TP(稀)』
TPはtransparentで、不透明から透明までの透明度の尺度のうち「透明」を指します。日頃売られているのはピンク色の不透明な石ですよね。

実習でも練習石には出てこず、珍しい石(=高価)がいきなり出てきた模擬試験でも恐らく登場せず、
「試験の時にTPロードクロサイトっぽいやつ引いた……赤っぽくてめっちゃ複屈折率が高かったからそうじゃないかな、と」
と言っていたクラスメイトがいただけの、幻の石でした。

透明石が産出されていた米国コロラドのスイートホーム鉱山はもう閉山していたので、少ない石が市場でぐるぐる回っているだけなのですよね。

最初のツーソンではデマントイドガーネット狙いで、2度目のツーソンの狙いはこのTPロードクロサイトでした。2度目なので、大体どこにあるかわかっていました。目指すはGJX!珍しい石が多い、巨大なテントです。

割と朝のうちに発見しました。ピアスというのが凄いです。
何が凄いかというと、稀少なのに同じような色合いの2石が揃っていること、割れやすいのに加工してあることです。

本当はルースが良かったんですけどね…

本当は裸石ルース1ピースで良かったのですが、あった時が買い!即断しました。今でも、良い買物だったと思っています。

そのブースはアジア系の女性がいて、最初は英語で話していたのですが、何かで気づいたらしく
「あれ?日本の方ですか?」
と日本語になりました。カリフォルニアの出展者だったと記憶していますが、そこで働く日本人の方でした。

お互い、アジア人だとは思っていたけれど……というパターンですね。
色々と現地事情やツーソン事情も聴けて、面白かったです。

取扱い注意のお嬢様

私、傷つきやすいの……

モース硬度(引っかきに対する強度)が3.5~4.5!
爪が4位と言いますから、爪でひっかくと傷がつくぐらいです。

ですから、ツーソンで見つけたピアスは、爪留めする時に割れる可能性がありました。上手い職人さんが留めたのだと思います。

私、割れやすいの……

劈開クリベージがあります。専門的っぽく言うと、宝石の結晶格子の原子間結合力が弱い方向です。「完全」というのは、スパコーン!と割れる状態です。カルサイトもそうですね。

不透明な石は集合体構造となるため、クリベージは不明瞭ですが、透明なコは……そうなんです、このお嬢様、打たれ弱いのです。「靭性」という、石の粘り強さも「不可」。

私、溶けやすいの……

化学組成がMnCO3、マンガン炭酸塩です。炭酸塩……そうです、酸で発泡します。

博物館にもありました

「宝石」展の、希少石コーナーにありました。

各種取り揃えてございます

左奥の円柱が集まったような結晶は、同心円状に縞が出る様子がよくわかります。これに「おぉ~」となって写真を撮ったのでした。
右奥のベーコンのような縞模様は、ロードクロサイトの特徴です。
手前の左が透明石の原石、真ん中が透明石、右側が不透明石のカボションカットでしょう。

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