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内視鏡でポリープを取ったら、12万人に1人の病気でした

悲愴感は無いので、ご安心を!


大腸がん検診で引っかかる

区の大腸がん検診の結果を返されながら、陽性が出たので必ず精密検査を受けるようにと言われました。便潜血検査の2日のうち1日が陽性でした。
胃の内視鏡を受けた医院で、大腸内視鏡も受けることにしました。

まずは診察で説明を受けて検査の予約を取り、指示通りに2日前から消化の良い食事を摂りました。種とか繊維とか、結構腸内に残るそうですよ。

当日は朝食抜きで指定の時間に医院へ行き、病室で下剤を飲みました。2時間ほどかけて2リットルの下剤を飲みますが、1時間後ぐらいからトイレとの往復でした。病室に他の人がいなくて良かったです。

開始前に看護師さんが「最後の方はトイレで下剤飲みたいって言ってた人がいたわよ」と教えてくれたのも、わかります。
途中で看護師さんが、血管確保に来ました。折を見て、お尻に穴の開いた紙製のハーフパンツを検査着の下に履きます。お腹が落ち着いて、もう黄色い水しか出ませ~んとなったところで、内視鏡の部屋へ。

「あなた、この間ボクが胃カメラやった人だね、どうもどうも」
という感じで、同じ先生でした。

スペクタクル、キノコ討伐→内視鏡って凄い

「ちょっとぼんやりする薬を入れるよ」
と、さきほど確保した血管からピリピリする薬が入ります。
ぼんやり……?あんまりしていない気がします。

聞いていた通り、胃の内視鏡ほど楽ではありませんでした。腸は曲がっていますし、長いですし。
蛇が腸の中を進んだらこんな感じでしょうか。どの辺にいるのか、わかるんです。横を向いたり、仰向けで足を組むような姿勢になったり、指示通りにします。

大腸内視鏡

一つ、大きめのポリープがあるようでしたが、そのまま奥へ進みます。先の方にも凸状になったポリープがあり、被せて切るような機械で取りました。ふわ~っと血が出ましたが、すぐ止まるそうです。

血は平気なのですが、モニターを見ながらお腹の違和感に耐えていたら、すぅっと血の気が引いてきました。点滴投入されました。
腸を引っ張るとナントカ神経に障って、その影響だそうです。

さて、先ほどの大きい方のポリープです。ピンク色のキノコが、ふよふよと揺れていました。
「頭が赤いね。ここから出血してたんだろうな」

電気を使うからとお腹にアースを貼られ、キノコの根元をクリップで留めて、輪になったワイヤーを投げ縄のようにかけて、電気で焼き切ったらしく、キノコがバッタリ倒れました。更に触手のようなものでキノコを掴んで、外に出します。

一大スペクタクル大絵巻キノコ討伐の巻、でした。
内視鏡って凄いわぁ、とドキドキしました。どちらのポリープも取った瞬間を見ていましたが、全く痛みはなく、どこか他人事でもありました。
(直腸に近いと痛いらしいですが、私のはS状結腸でした)

ポリープ位置
S状結腸

「このサイズになると、念のため入院ね」
点滴に止血剤も追加され、病室に戻りました。幸い、2人部屋の1人使いとなりましたので、のんびりしましょう。どうせ絶食絶飲ですし……。

「なんじゃそりゃ」なポリープで大学病院へ

10日ほどして検査結果を聞きに行くと、どちらのポリープもがんではなかったものの、キノコの方はペとかポとかで始まる珍しいポリープらしく、大学病院を紹介されました。
また休むのか……とげんなりしたところ、その病院は土日祝日も診てもらえるとのことで、一番近い土日を取ってもらいました。

「ポリープは取ってしまったからもうOK」となるか、
「念のため小腸も調べましょう」となるか、ではないかということでした。
小腸に100個ぐらいポリープができることもある病気と同じ型のようです。

2週間後ぐらいに大学病院へ行くと、少し前のオダギリジョーみたいな当番医の先生でした。まあ、なんというサービスなのでしょう。

キノコのポリープはポイツ・ジェガース型ポリープ(Peutz-Jeghers polyp)でした。ポイツ・ジェガーズ症候群というのがポリープが何十個もできてしまうものですが、それと同じポリープが単体で出来たようです。
そんなに珍しいキノコを腸内で栽培していたなんて。

まずCTを撮って、その検査結果を聞きつつ、小腸カプセル内視鏡で検査する方向性になりそうです。私を診察室に呼ぶ前に、専門の先生と連絡を取って折り返しになっていたようで、診察中に電話がありました。
せっかく土日も診てもらえる病院ですが、ここまでくるとドクター指定となり、その先生の診察の曜日になります。やむなし、休みましょう。

予約がもう一杯のところ、"裏技"で入れてもらえるそうです。ありがとう、オダジョー先生。備考に「ポイツです!」って入力しているのが見えました。CTは土日OKとのことで、その次の週末に入れてもらいました。

CTの指示票に「リンパ節転移の可能性あり」なんて入力されていて、ちょっとドキドキしました。転移といったらアレですよね……。ポイツ・ジェガース症候群は合併症でがんになる確率が高いからでしょうか。

小腸カプセル内視鏡

専門の先生は女性と聞いて、どっしり貫禄のあるベテランの先生を勝手に想像していたのですが、予約日に行ってみるとカワイ子ちゃんが座っているではありませんか。なんなんでしょう、この病院。

CTに変なモノは映っていなかったそうで、まずは負担の少ない小腸カプセル内視鏡でいいのでは、ということになりました。
「いつにしましょうか。GW明けぐらいかな(この時4月下旬)」
「念のため朝食抜きで来たのですが、今日できたりするものでしょうか」
と聞くと、待てばできるとのこと。食事抜きでまた来るよりは……と思って、待つことにしました。

万全を期すなら、ダミーのカプセルを飲んで、問題なく腸を通れるかどうか見るそうなのですが、手術歴といっても虫垂炎だけですし、腸閉塞や腸重積で受診しているわけではないし、ということで割愛できました。

土日祝日でも内視鏡検査ができるとあって、一体いくつ検査室があるんだ、というフロアへ移動して
”カプセルは普通は出てくるけど、もし出てこなかったら内視鏡か外科的に取り出すわよ”
という同意書にサインして、大腸の時ほどではありませんが下剤を飲みました(300ccぐらい?)。

待つのに飽きてきた頃に、腸内の泡を抑える薬と、腸の動きを良くする薬を飲んで、お腹8か所にアンテナパッドを貼って、カプセルを水で飲みました。大きめのカプセル剤といった感じです。2時間後に飲水OK、4時間後に食事OKです。

小腸内視鏡受信機
受信機に腸内が映ります

こんな感じで、ポシェットのような受信機を下げて帰宅します。コードが出ているので、お尻が隠れるぐらいの上着を着ていて良かったです。

10時間ぐらいで電池が切れたら、アンテナパッドを外して良いと言われました。なんとなく疲れて横になっても、色々なモノがついているので気になって熟睡できませんでした。夜中にランプが切れたのを確認して、外してぐっすり眠りました。

翌日に機械を返しに行って、数日かけて解析するそうです。
GW明けに結果を聞きに行くと、小腸には何も生えていなかったそうです。

喘息でCTの造影剤が使えないので、合併症のがんのスクリーニングとして、MRIと超音波を組合わせることになりました。
なんだかこの病院、イケメンやカワイ子ちゃんが多いので、腹部超音波に備えて少しウエストシェイプせねば……(動機が不純)。

小腸カプセル
2回目で回収できたカプセル(回収方法は聞かないで!)
こんなサイズ感です

手足、口の周りの斑点(皮膚科)

ポイツ・ジェガース症候群の特徴として、手足や口周辺の色素沈着があります。

そういえば、子供の頃から掌にホクロのようなものがあったのと、よく見ると足裏にもありますし、口の周りや唇の中にホクロのようなシミのようなものがあるので聞いてみたところ、特徴的なものではないとのことでしたが、同じ病院の皮膚科で診てもらうことになりました。

皮膚科の先生も爽やか系で、何なのこの病院……と思いました。

さすが専門医と思ったのは、似たような見た目のものでも
「これはシミですね。これは湿疹みたいなものの治った後の色素沈着です」
ってわかるんですね~。

まぁ、私も宝石の中を覗いて「これは結晶、これは液体インクルージョン」なんて言いますから、それと同じことでしょうか(一応宝石の専門家)。

凄い接写レンズで、バシャバシャ写真を撮られました。何かの資料にでもなれば幸いです(なるのかな?)。

先生の見解では、ポイツ・ジェガース型ポリープと関係あると言えそう、とのことです。ただし、ポリープが1つだからか、出方が弱いそうです。
う~ん、ここでも決定力不足。

鼻のポリープ(耳鼻科)

そういえば、初めて経鼻内視鏡をやった時に、胃は問題なかったのに鼻のポリープを指摘されました。

すぐ近所の耳鼻科に行って経過観察となったのですが、色々と調べていたら、ポイツ・ジェガース症候群のポリープは鼻にもできることがあるのを知りました。まさかアイツが!?と思い、今度は同じ病院の耳鼻科を受診しました。

普通は奥の方に出来るらしいのですが、手前に生えていたのでその場で取られました。麻酔薬をしみ込ませたガーゼを鼻の中に入れられて15分、麻酔が効いたら、根元を電気で焼いた後にジョキジョキ切ります。

黄色っぽい、イチョウ芋みたいな形のものが出てきました。有茎で樹枝状がポイツ・ジェガース型ポリープの特徴……お?これはもしや?

鼻の中で少しずつ大きくなるからか、鼻が詰まっている感じはなかったのですが、いざなくなってみると
「こんなに空気が通るのか!」
という感じで、いかに塞がれていたのかわかりました。

検査結果は普通のポリープでした。
まぁ、鼻の通りが良くなったので良しとしましょう。

結局のところ

今の状態では、ポイツ・ジェガース症候群「である」とも「ではない」とも断定できないそうです。家族にもいないのですが(姉は未検査)父がちょうど大腸ポリープを21個も取ったので、ポリポーシスのはあるのかも、ということでした。

私のような散発型も含め、推定患者数は600~2400人。
ポリープがあったら取る、合併症のがんのスクリーニングをする、ということには変わりないようです。

内科と外科でチームを組んで治療にあたってくれる病院を紹介してもらえて、とてもラッキーだったと思います。
長いお付き合いになりそうです。

鎮静剤を使うかどうか、こちらをご参考に(なるかな)。

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