ブス以前の問題だ!
ある作家の出版記念でトークイベントに行ってきた。
その作家の本は読んだ事はなかったが有名な方で、刺激的なタイトルと「社会を変えたい」というメッセージ性に惹かれて、新書を買ってサインしてもらえたらいいな、と思っていた。
また、対談相手が面白い人なので、トークも楽しみにしていた。
トークでは女性差別や容姿差別、属性差別などが繰り広げられる‥と思ったが、どうも様子がおかしい。
対談相手(Tさん)が、本の内容に沿って話しを振っても、トンチンカンな(本の内容とは逆)回答を繰り返す。
Tさん「作家になって誹謗中傷に傷ついたと書かれていますが、どんな言葉が嫌でしたか?」
作家「うーん、(Tさんは)フェミニストですか?」
Tさん「いきなり僕ですか?…フェミニストって、呼ぶ人によって色んな定義があるじゃないですか。権威主義者にとっては侮蔑用語になったりもしますし…。ただ僕はこれはいくら何でもおかしいだろ?と思う事は、声に出して言ったりしますので」
作家「今フェミニストって流行っているじゃないですか?そういう方から『男に媚び売ってる』とか言われたり。でも私は何でもかんでもセクハラだって言われる男の人もかわいそうだって思ってて、それを書いたりするとそういう批判にあったりするんですよ。」
Tさん「でもそれを許してしまうと『どこからがセクハラなんだ!髪型を褒めたらセクハラか?彼氏いるか聞いたらセクハラか?身体触ったらセクハラか?』という話しに終始してしまいますよね?」
作家「うーん、だから私はそういう人にも、寄り添ってあげたいと思うんですよ。」
Tさん「…でもこの本には、被差別者が変わる必要はない。変わるべきは社会だって書いてありますよね。」
作家「はい…」Tさん「…」
Tさん「社会を変えたいってありますが、どんな風に変えたいと思いますか?」
作家「私は誰も傷つけたくないんです。傷つけない範囲で変えて行けたら、と思ってて…」
Tさん「例えば外務省のセクハラが問題になったじゃないですか?記者は録音までして証拠を出したのに、当の福田さんは『酔った時の声は自分の中を通るので、自分の声かはわからない』と言ったんですよ!それで反省もしてないし、今どこで何してるのかは知りませんが、お咎めなしです。それについてはどう思います?」
作家「…はい」Tさん「…」
作家「あの、私たちって会話が噛み合っていないんじゃないですか?」
Tさん「うーん…会話が噛み合うってことがどういうことかにもよりますが、もしポンポンポン(自分と相手にボールが渡るという仕草)ってことなら…」
作家「はい」
Tさん「あ、終わっちゃった…噛み合ってないのかも知れませんね。」会場笑い
とにかくこの作家さん、Tさんが一生懸命フォローして話している時に、ジュースを飲んだり会場をキョロキョロ見回したりして、聞いていない。そして話しを振られると、「はい」とか「そうですね」とかで終わらせてしまう。
この光景を見ていて嫌な記憶が蘇った。友達は気の合う人で繋がるのでそういう苦労はないが、ママ友でたまにこういう人に出くわす。
自分からは何も話さず、相手に話し掛けてもらうのをひたすら待つ人。こちらが気を使っていろいろ話し掛けるが、返事が「うん」か「そうでもない」しかない。「and you?」がない。相手に気を使わせてしまっていることも気づかない。気分が乗って来ると、自分の話したいことだけを一方的に話す。こちらはひたすら会話のおもてなしをして、疲れ果ててしまう。悪い人ではないが、思いやりもない。共感能力が低い。ただただ徒労感が募る。
話しを元に戻す。
Tさん「例えば社会が口の中だとして、虫歯があったらまずはそこを治療しますよね?。いくら歯を磨いても虫歯があったらどんどん悪化しますから。」お、いい例を出したな。と思ったら、
作家「でも、だんだん良くなってくるんじゃないですか?色んな人が声を上げてくれているし…」お、お前じゃないんかーい!
Tさん「この本の中に『社会派作家になりたい』と書いてらっしゃいますけど、社会派作家ってどんなイメージですか?」
作家「人から社会派作家って呼ばれることです。」場内笑い
この作家さん、自分がウケてると勘違いしてご機嫌になっているが、あまりのトンチンカンさにみんな笑っているのだ。
作家「私は子どもも小さいし、本当に狭い範囲で暮らしていて、大してお金にもならないのにこんなこと(出版イベント)ばかりやってていいのかなと思うんですけど、その狭い範囲で気づくこともあるので、そこから変えて行けたらいいと思ってるんです。」お、なんか良さげなこと言ったぞ。と思ったが、「こんなこと」って本を売ろうとイベントを企画してくれた出版社や、対談相手や、時間を捻出してチケット買って来てる観客に随分失礼だな。
ここまで聞いていて、この本のことを一番読み込んでいるのは、著者ではなくTさんだと思った。ゴーストライター?とも思ったが、それはないだろう。多分この本では立派なことがたくさん書いてあると思うが、著者と一致しない本を読む気にはなれなかった。
質疑応答
「職場でセクハラに合っている女性がいる。私はどういう態度を取ればいいか?」
作家「難しいですね。どうですか?」Tさんに振る。
Tさん「え?ここでもこちらに振りますか…。そうですね、僕なら『それ、セクハラですよ』って言っちゃいますけど、女性だったら『ヒエー!怖い怖い』と返されそうですよね」
作家「話しをそらす」
Tさん「話しをそらしても、その場ではやめてもまた次やりますから、解決にはならないですよね」
作家「そうですね。難しいですよねー。私は空気が読めないので、また話しをほじくり返しちゃったりしてしまうので」
Tさん「私は空気が読めないってキャラにすると、成長できなくなっちゃうし、そのまま空気読めないキャラで行くのならそれはそれでいいですけどね」
以上。私が聞き取れて覚えている内容を、分かりやすいように若干修正を加えている。齟齬があったら申し訳ない。
Tさんの話しでそこそこ笑いはあったが、作家さんはかなり残念だった。
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