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しんゆり映画祭 赤い雪



しんゆり映画祭に行った。

時間がなくて諦めていたが、主戦場の公開中止というニュースを読み、居ても立っても居られなくなり、なんとか都合をつけた。

愛知トリエンナーレで表現の自由に公権力が牙を剥いてから、各地で政権の気に入らないものを潰す暴力が大手を振っている。

私には何の力もないが「参加する」ことで抗議したいと思った。

参加できる時間は3時間。

そこで観られる映画は「赤い雪」しかなかった。すでに始まってから30分過ぎていた。

しかし、凄絶で壮大で全身がヒリヒリ傷むような、圧巻の作品だった。

俳優達が取り憑かれたように、過去に魂を殺された役を演じている。

「この人じゃなければ、この役は演じられなかった」と全員の配役がピタリと嵌っていた。

主役級の俳優さんたちはもちろんだが、夏川結衣さんが演じた狂気の母親が自分と重なって息苦しくなった。

楽しそうに高らかに笑う母親。

それはどんなに絶望していても、笑顔の仮面を被って生きてきた私そのものだった。


上映後、甲斐さやか監督と主演の菜葉菜さんと急遽駆けつけた井浦新さんのトークがあった。

この映画は低予算のため、3週間で撮影されたそうだ。恐ろしいほどの才能。

菜葉菜さんは役と全然違って明るい人だったが、監督と井浦新さんの映画や表現の自由に対する熱い思いに共感した。

アンケートには「表現の自由のために闘って下さい。」と書いてきた。

本当に来てよかった。こんな素晴らしい作品と俳優に出会えたのだから。



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