見出し画像

長寿の基本は「塩分ひかえめ」と「ダイエット」

2020年に厚生労働省が発表した日本人の平均寿命は、
男性81.4歳、女性87.5歳
です。

「よーし、まだまだ大丈夫」と喜んでおれません。
介護を必要としない健康寿命は男性72.1歳、女性74.8歳です。

こう聞くと、切実な問題になってくる人もあるのではないでしょうか。
自分は大丈夫でも、両親はそろそろその年齢にという方もあるでしょう。

介護されながら生きる期間は、男性で9年、女性で13年です。
人の手を借りず、健康で長生きしたいものです。

◆寿命を決めるのは遺伝子か、生活習慣か

「高齢者」とは、65歳以上をいいますが、
日本老年学会では75歳以上を「高齢者」としています。
また、90歳以上を「超高齢者」といいます。

寿命を縮める遺伝子が約47種類あるそうです。
名づけてTNM47(TNMは短命の略)とでも言いましょうか。
具体的には、癌や心臓病、糖尿病になりやすい遺伝子です。

これらの遺伝子をいくつ持っているかは個人差があり、
少ない人で20個、多い人で35個持っています。

病気になりやすい遺伝子をたくさん持っているほど短命なのでしょうか。
超高齢者と一般人の遺伝子を比較すると、
病気になりやすい遺伝の数に差がありませんでした

つまり、超高齢者は、悪い遺伝を持っていても、
生活習慣(食事と運動)によって、病気の発症を抑えている
のです。

◆長寿の基本は「減塩」と「減量」

食事と運動は、病気の遺伝子に勝ることを示す例を挙げましょう。
高血圧のリスクとなる遺伝子(AGT遺伝子)を持っている人でも、
1日6gの減塩で血圧は正常になっています。

肥満のリスクである遺伝子(β3ADRとUCP1遺伝子)を持っている人でも、
内臓脂肪を減らす指導をしたところ、23年後も健康を保っています

長生きの基本は「塩分ひかえめ」と「ダイエット」と言えるでしょう。

認知症のリスクとなる遺伝子(MTHFRとFADS1遺伝子)を持っている人には、DHAのサプリメント500㎎か、魚100gがよいとのです。
また、認知症の人のほとんどすべてが葉酸欠乏なので、
葉酸400μgの葉酸米を食べる試みも行われています。
葉酸は野菜と果物に豊富に含まれています。

◆少しでも高ければ遺伝子を持っている

病気になる遺伝を持っているかどうかは、遺伝子検査をしてみないと分かりませんが、だいたい見当がつきます。

すぐに太ってしまう人は「肥満遺伝子」を持っているでしょう。
持っていない人は、食べても食べても太りません。

検診で食前の血糖が高かった人は「糖尿病遺伝子」を持っているに違いありません。
持っていない人は、食後に血糖検診を受けても正常です。

血圧が少しでも高い人は「高血圧遺伝子」を、
コレステロールが少しでも高めの人は「高コレステロール遺伝子」を持っているでしょう。

食事と運動によって、短命遺伝子には一生おとなしくしてもらいましょう。

参考文献
香川靖雄:「健康寿命延伸のための食事」,アンチ・エイジング医学 16(6): 724-728, 2020

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?