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読書記録:かつての恋人から突然手紙が届いたら。

2023/01/07  「四月になれば彼女は」川村元気


ややネタバレあり。お気をつけて!

あらすじ

4月、はじめて付き合った彼女から手紙が届いた。
そのとき僕は結婚を決めていた。愛しているのかわからない人と。
天空の鏡・ウユニ塩湖にある塩のホテルで書かれたそれには、恋の瑞々しいはじまりとともに、二人が付き合っていた頃の記憶が綴られていた。
ある事件をきっかけに別れてしまった彼女は、なぜ今になって手紙を書いてきたのか。時を同じくして、1年後に結婚をひかえている婚約者、彼女の妹、職場の同僚の恋模様にも、劇的な変化がおとずれる。
愛している、愛されている。そのことを確認したいと切実に願う。けれどなぜ、恋も愛も、やがては過ぎ去っていってしまうのか――。
失った恋に翻弄される12カ月がはじまる。
https://books.bunshun.jp/sp/4gatsu

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私が好きな言葉たち

私はいつも読書をするときに必ず付箋を使います。好きなセリフ、言葉、描写とかを見つけると付箋をつけて、記録するんです。そしたら記録を見返したときにその本のストーリーや好きだったところを思い出すことができるからね。ここから記録を始めるよ。

手紙を書くなんて、簡単なことだと思っていました。
でも書きはじめてみると、驚くほど進まない。よく考えてみたら、ペンを手にちゃんとした手紙を書くなんて、十数年ぶりかもしれません。誰かのことを真剣に考えて、その人のためになにかを書く。それはとても難しく、恥ずかしいものですね。
p.9
私自身手紙を誰に送りたいかって考えたときに思い浮かぶひとはほぼいない。
親しいひとのなかでも、憧れの気持ちがあったり、言動にはきっと現れていないんだろうけど、すごく大切にしたいひとだったり。この文章はすごく共感した。私の彼女と同じような気持ちを持ちながら、手紙を送ろうとしてたんかもな~。


「誰かを好きになると、好きなものをひとつ失うんですか?」
六月の妹 p.57
ふたりはお互いに写真を撮り、めいめいにそれを現像し、封筒に入れて贈り合った。・・自分が好きなものを、ひとつでも多く彼女が好きになってくれることを願った。 
六月の妹 p.58
このシーンたちは、なんか初々しくて。
好きな人とはなんでも共有できるって思えてるんだろうなって感じがしてかわいい。


死に追われ、そこから逃げ続けていた左肩が少し下がったその背中は、ついにその死に捕まってしまったのだと。
十月の青空  p.169
愛を終わらせない方法はひとつしかない。それは手に入れないことだ。決して自分のものにならないものしか、永遠に愛することはできない。
十一月の猿 p.198


「ここにきた多くの人が長くはないんです。だから、私はたくさんの死を見てきました。ハルちゃんは、ここの人たちをいつも励ましながら写真を撮ってくれて。みんな彼女の写真を遺影に使うって言うんです。どうしてだろう。自分でも見たことない笑顔を撮ってくれるんだって
二月の海 p.229
「人は死ぬ、けれどもわたしたちのそばにいてくれる」老婆は言った。「わたしたちを生かしてくれている」
三月の終わりに彼は p.259
急に、涙が溢れてきました。自分はこの世界から失われるのではなく、溶け込んでいくのだと、わたしはそのとき思えたのです。
三月の終わりに彼は p.263


この本を読み終わって。

知ってて読み始めたわけじゃないけど、手紙、カメラ、珈琲。自分の好きなものがたくさん入っていて引き込まれた。

いちばん好きなのはやっぱりラストシーン。いままでのいろんなシーンや言葉、想いがぎゅーんって彼に集まっていったような気がした。光もパーって広がって眩しくて、新海誠のアニメーションを見たのとおんなじ感じだった。

次読み直すときは、あさのあつこさんの「解説」を頭のなかに入れた状態で読みたいなと思った!

以上。

フジのことがいまでも好きか、正直よくわからないのです。
なぜ手紙を送ろうと思ったのかも。
でもいま、最後の手紙を書きながら気づきました。
わたしは、わたしに会いたかった。
あなたのことが好きだった頃のわたしに。
三月の終わりに彼は p.263


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