日本人の遺伝子にはアトムがいる ~ザ・クリエイター/創造者 

見てきました。
この監督の映画は「モンスターズ/地球外生命体」から見ていて、「ローグワン」がとにかく好きで、好きすぎて、ポスターを家に貼っているくらい。
なので、この映画も楽しみにしていました。

ロボット(AI)と人類の共存といえば、アシモフの「鋼鉄都市」が真っ先にでてきます。
映画では、スピルバーグの「AI」が大ヒットしているし、「スターウォーズ」のC3POとR2D2の存在は欠かせません。
他にも、AIと人間との関係を描いた映画はあり、「アイアムユアマン」「her/世界でひとつの彼女」「ブレードランナー」「ミーガン」「アフターヤン」などがあります。
でも、ギャレス監督が描くロボット/AIは、ちょっと違います。
「ローグワン」で描いたK-2SO(元ドロイド兵)は、明らかに”こっち側”でした。
”こっち側”とは、我々日本人の事です。

もともとアジアにはアニミズム、いかなるものにも魂/スピリットが宿るという考えがあります。
映画の中でもそれは明確に描かれていて、西洋側は”IT”と呼びますが、対するアジア側はすべて人間と同じ呼び方、HE/SHE/YOU でした。
この部分、個人的には明確に西洋人と東洋人では感覚からして大きく違うと思っています。
西洋人の多くは、機械は所詮機械、物です。けれど我々は違います。物にも魂が宿ると思っています。長く使えば使うほど、大事にすればするほど、それは ”ただの物” ではなくなる。心を持つ存在になります。
「ザ・クリエイター」の中で描かれる世界のアジア側では、AIが普通に我々の生活の中にいて、人間の子供を育てていたり、人間とカップルだったり、AI同士で夫婦だったりしています。
人間と共に普通に生き、そして共に戦っています。
誰かと共に生き、誰かを大事に想い、自己犠牲すらあるAIの存在、私は違和感なく見て、そして彼らのその言動に涙しました。

たまたま同時期、Netflixで「PLUTO」の配信が始まりました。
手塚治虫のアトムの中のエピソードを、浦沢直樹があらたにマンガ化したものです。
それを見て、あ!と思いました。
現代に生きる日本人は、アトムの存在を当たり前として生きてきています。
アトムは天馬博士の死んだ息子のかわりとして造られ、そしてあまりにもその息子と違ったために捨てられ、その後、お茶の水博士とともに”アトム”として生きたロボットです。
製作者はわかりませんが、目覚めなかったアトムという作品を見た事があります。それは、台の上に寝かされた目を閉じたままのアトムでした。
アトムの誕生は2003年4月。
現実はその時、アトムを作る事には至りませんでした。けれど、私たち日本人はアトムが初めて描かれた1952年以降、ロボット/AI と共に生きる世界を違和感なく受け入れてきました。
アシモフの「鋼鉄都市」を読んだ時に私が感じた違和感、それは確実に、ロボット/AIの存在そのものに対する見方、捉え方、考え方の違いでした。
そしてその原点は、確実にアトムの存在にあります。

まったきアメリカ人がこの映画を見てどう思ったか、知りたいのですが、現在周辺に話を聞ける人がおらず残念。
「シン・ゴジラ」の話をした時、かなりオタク寄りなアメリカ人たちと話した事がありますが、「面白かった。それについては僕らもそう思ってる。でも、あれは僕らが見たいゴジラじゃないんだよ。もっとこう、他の怪獣やモンスターとばりばり戦ってほしいんだよ。いっぱい怪獣やモンスターがでてきてほしいんだよ」と熱く語られて、「お前らはゴジラのなんたるかを全然わかってない!」とガチで叫びました。
西洋人(とくにアメリカ人)は消費社会に生きていて、モノに対する考え方は基本私たちとは違っていて、とくにロボット/AIについてはまったく違うというふうに感じています。
職場でPCに名前つけてたのは日本人ばかりで、それ知ったアメリカ人たちが「???」になっていたのが象徴的。
そういえば、日本には初音ミクと結婚した方もいらっしゃいました。

ガチなSFファンにはツッコミどころ満載かもしれませんが、私はこの映画、とても好きです。
AIが宗教を持っているという所、とても新鮮でした。
かつてはロボットは永遠に存在する/生きるものと思われてきましたが、現在、それはないとはっきりわかっています。
機械も経年による劣化があるし、壊れもする。
彼らなりの宗教観を持ってもおかしくない。
犬型ロボットアイボの所有者が、壊れて動かなくなったアイボをなんとか治してほしいと懇願し、寺で供養してもらってる話も、もしかしたら日本でしか見られないものなのかもしれません。
ちなみに私、こちらのホンダのCM見て号泣した人間なので、確実に遺伝子にアトムの存在を持つ者だと思っております。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?