見出し画像

ハナラボと社会と私 ー 第二話:なぜ私がNPOハナラボ理事になったのか

〇これを書くにあたって
もうハナラボとの付き合いも7年目。IT企業でデザイナーをやっていたので、ハナラボに近い活動をずっと続けてきたわけでもなく、なんとなく出会って、なんとなくスタッフに。
そこから実に色々ありまして、今年から縁あって代表を務めることになりました。この連載では、3回にわけてスタッフになるところから、理事を経て、代表になるまでに、何が起きて、どう考えてきたかを綴っていきたいと思います。振り返ったときにこんなこともあったな~と思えるように、そしてこんな生き様もあるのだなと小説の1ページに出てくる人みたいに思ってもらえたらとおもってもらえたら幸いです。

このお話しは第二話です。
第一話はこちらから。https://note.com/hanalab/n/n214644780475


〇組織を見渡す
さて、いよいよ理事。ちゃんと総会で無事承認されました笑 そんなに大きな組織でもないので、理事だから理事の仕事というわけでもなく、チームの活動と兼務です。専任スタッフが代表しかいないこともあり、何を隠そう、いちばん考え、そしていちばん動いているのが代表の角なのがハナラボです。なので、なにか大きな変化があったかと言われるとそうでもなかった気がします。ただ、クリエイティブチームでの実践はもちろんですが、ハナラボをどうしてきたい、ハナラボで社会をどう変えていきたいという想いが着実に大きくなってきていました。
ハナラボのスタッフは、ハナラボの卒業生に支えられているといっても過言ではなく、私のように大人になってから、それもたまたま出会ったみたいな人って実は少ないです。みんな何かと向き合ってきた方がほんとに多い、素晴らしい方が多いです。でもそんな外側からハナラボにたどりついた私だから、きっと人一倍、組織として見ている側面が強いのかなとも思います。大好きな場所からはじまっていないので(もちろん今は大好きな場所なのですが)、関わる人みんなに、私のように大好きな場所になってもらいたいとか、ハナラボという良さを、個人を超えて組織として社会に浸透させていきたいと想う気持ちが大きいです。時折、なんで生活するだけでも忙しいのに理事までやっているの?と質問をされることもあるのですが、たぶんこれが理由です。私にとって、好きな場所であって、それをみんなにも伝えたいから。そしてひとりでも多くの女性が今より少しでもハッピーになってくれたらなと願うばかりです。
実践は実践で大事にしながら、みんなの実践の効果をどう社会に浸透させていくか、そのために組織をどう捉えていくかが私の理事としての大きなテーマとなりました。

〇ハナラボミッションの浸透
組織をどうする、というときに大事なのははやり、みんなで同じ方向を向いていくことだと思います。やることはそれぞれでも、願いはひとつ。そんな状態をつくりたいと思いました。でも前述のとおり、専任スタッフは代表のみで、あとのメンバーはそれぞれ他の仕事もあります。とにかくみなさん忙しい。夏休み明けの久しぶりの出社をイメージしてもらえればわかると思いますが、気づかないうちにどんどん色んなことが進んでいるんです。そして何でそうなったのかがわからないということもしばしば。スタッフも増えて以前より大きく活動ができるのに、なんかこう、モヤモヤする瞬間が生まれていたのかなと思います。色々なところに少しずつ距離を感じる、新しいスタッフがうまくなじめないなど課題が見えてきました。同時に、学生との間でも同じモヤモヤが生じていたのもこの時期。これはどうにかせねばという感じで、トライエラーがはじまりました。目標は、安心して参加できること、そしてみんなで社会をよりよくしていくこと。設立趣旨書を広げなおし、代表の想いを今一度ヒアリングをおこない、願いに対するミッションを確認しました。ミッションを遂行するために、各チームの役割は?どんなことができる?ほんとうにひとつひとつで、今も進行中ですが、より自律的に動ける組織づくりをおこなっていきました。

〇私にとってのハナラボ組織
まだまだ発展途上ではある組織ですが、ああでもないこうでもないと考えてきて(そしてスタッフのみなさん至らなくてごめんなさい)、本当に人のつながりってすごいなと思っています。現場があるというのは、最後に実践したかどうかで結果も成果もでるので、最後はやるしかないです。どんなに地味でもなんでも。やれば何かがみえてくる。それだけは真実です。でも、どんなに良いアイデアがあっても、ひとりだけで出来るわけでもないです。それは時間的な話もそうだし、能力とか、さらには感性とかいろんなことがやっぱり一人では限界があるんですよね。そのときにチームというものが大事になってくる。そんなときに、このハナラボという組織は安心して隣の人と一緒に活動できます。こういうことをやりたくて、ここはあなたにお願いしたいとつたえるだけで、または伝えなくても、これは誰が得意だよねという話になって自然にプロジェクトチームができていきます。ひとりでもできるかもしれないけれどチームでやるともっと良くなる、という人のつながりを本当に実感しています。
昔だれかに「一人でできないようなら、チームではできないよ」と言われたことがあるのですが、矛盾するようですがこの言葉の意味がわかったのがこの理事としての活動でした。ひとりでもできるくらいにちゃんと意識があって、それでもできないところは任せる。そしてそこにはお互いを思いやることが必要。ちゃんとやることにイメージがつかないなら、役割分担なんかできないし、そもそもチームワークなんて発揮できないんじゃないかということなのだったのだなと思いました。安心して任せられるということがこんなにも自分にも組織にも良い効果がでるというのを実感した瞬間でした。面倒かもしれないですが、ていねいにハナラボの姿を共有し、チームで動いていく。そんな活動が理事としての活動の中での資産になっていきました。

〇活動に向き合うにあたっての原体験
スタッフとして興味のおもむくままにはじめたハナラボの活動ですが、すっかりハマりました。そして次第にこの良さをもっと広げたいと思うところから、組織としての在り方も考えるようになりました。あと忘れてはいけないのが、いまあるジェンダーギャップという社会課題を解決して、もっと女の子たちが輝けるようになるということ。このお題とどうしてこんなに向き合うことができたのかを振り返ります。私自身もこの社会課題に関しては、どっぷりと直面している人だと思います。生い立ち的に振り返ると、多感な時代をミッション系の女子校で過ごし、大学はデザイン学科へ。もう何からなにまで違いましたね。国立だったからそれこそいろんな地域から学生が集まっていたし、当たり前ですが教室に男の子がいます。そして私の代は3分の2が男の子でしたね。だいたい。今思えばですが、どう振舞ってよいのかたぶん迷ってたんじゃないかなと思います。それまでは守られた環境でそれこそ好き勝手言っていました。でも大学の教室はちょっと雰囲気違うんですよね。なんかこう中心にはなぜか男の子みたいなのが自然に出来上がっていました。その時はそれがジェンダーギャップのたまものとは思ってもなかったし、なんせ新しすぎてどうして良いかもわからなかったので気づかなかったですが。今思えばあれは間違いなくジェンダーの問題あったなと思います。でも、そこはリベラルな学科だったので、年次が進むにつれてひとりのキャラクターで見てもらえたので本当にいま思い出してみればです。むしろ今ははっきりものを言う女の子の方が強いくらいかもしれないです、私のいた研究室 笑。
そして社会へ。もうこれはびっくり以外なかったです。詳細は割愛しますが、世の中甘くないなと思いました。そして、慣れてきたころに、出産・育児とライフイベントも進み、キャリアで本当になやみました。本当に、ほんとうに。腐りかけた時期もありました、正直。牙をむき出しにしていた時期もありました、リアルに。そこを通ってきてしまったからこそ、そうじゃない道をつくりたいと思っているのは事実です。私が動くのと一緒に、社会も動いているので色々な状況は良くはなっていると思います。でももっとその流れを大きなものにしていきたい。そう思っています。あの時が今だったら・・・と思うことも当然あります。でも過去に戻ることはできないので、今を生きることにして、そしてあの時が今の他の女性たちが悔しいとか思わずにすむようになったらなと思います。この文章は対象にしている女性の視点で描いていますが、もちろん男性もその逆で色々あったので、ジェンダーギャップに関してはほんとお互いにもっとハッピーになるようにと思っています。そんな生い立ちを通して、あらためて女性に焦点をあててみるということが、とても自然に受け入れられたのかなと思います。市民みんながクリエイティブで活き活きすることが最終ゴールではありますが、限りある手を、まずは身近な女性からという順番でやっていこうというのがハナラボ流です。女の子といってももうはやくくりきれないのですが、それでもまだまだ社会でマイノリティになりやすい部分なので、これからも大切にケアしてはやくそうでない日がくることを願います。

〇次の船出にむけて
自分や組織の成長と、ハナラボという存在の想いがすーっとひとつの輪のなかに入ってきた感じのする、小さな手ごたえを感じるここ1年くらいだったのですが、ここに来て事件が・・・事件というと大げさですが、代表の角がそろそろ世代交代したいんだよねと言い出しました。なるほど。新陳代謝をするというのもわからなくはない。そしてまさかの、次の代表やらない?につながっていきます。色々考えました。期待も不安もあります。でもここ5,6年で培ったハナラボマインドでイエスしか答えなかった気がします。やってみたらいいかな、と思っています。新しいハナラボ号に乗り換えです。色々な活動をそれこそ仕事でもその他でもやってきましたが、私の特徴、ひとことで言えば錨を上げて船を出航させるような人なのだと思います。その先に何が待っているかはわからないけれど、行きたいところに行くためにその人のスタートを一緒にする人です。ハナラボ号、まだこれからもしかすると嵐にあうかもしれないですが、まずは新しい船のスタートをみんなと一緒にきってみようと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?