学芸美術 画家の心 第47回「クロード・モネ ひまわり 1881年作」
モネは戸外での日の移ろいやその時の情景を描くことを得意とし、静物画は描かなかった。
ところが1879年モネ39歳のとき、最愛の妻、カミーユが永眠するという彼にとってはもっとも辛い悲劇が襲う。
モネは愛する妻を亡くすとアトリエに籠(こも)り、戸外での写生に出かけなくなる。
この「ひまわり」はそんな逼塞(ひっそく)期間中に描かれたもので、モネの静物画としては貴重な作品といえる。
この作品経てやがてこれまでのように戸外での写生に出かけ、凍結したセーヌ川を描く。
我われの知るモネに戻るのに2年以上を要したことになる。
さて、この「ひまわり」だが、模写して感じることは、これはいつものモネのタッチではないということだ。
点描に近い彼の筆さばきではなく、まるでゴッホやゴーギャンのように豪胆で強い感じがする。まるでカミーユの亡霊を断ち切るためのように…。
皆さんは、モネの「ひまわり」とゴッホの「ひまわり」のどちらが奇麗で、どちらを好まれるだろうか。
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