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[コラム 14] 改めて再教育制度について考える

離職後再教育を受け復職する話が世界中のいたる所、国で聞かれる。
それは、2008年のリーマンショック以降、社会変化が激しく、そのための離職に対する再教育制度の重要性が増していることによる。

ところで、わたしたちの子供が成長した2030年には、今は姿かたちもない未知の職業に就く可能性が70パーセント以上の確率で存在する。

当然、それらの職業に就くための教育が必要であるが、では何を教え、何を学べばいいのだろうか。

たとえ激烈な生存競争に勝ち残った残り30パーセントの従来型の企業に運よく就職できたとしても、これまでと同じスキルでよいとは限らない。

世の中が激変と言えるほど大きく変化しているのだから、昭和、平成の旧来型の企業においても当然大きな変革がなされているはずである。

失業したのち、失業保険や生活保護制度を受けるという、単に生活ができるというセーフティーネットだけではなく、個人個人が望む、個別に対応した支援システムが必要になる。

やり直しをするための再教育の仕組みを整えることが重要だ。そのための生涯教育システムが必要となってくる。

今のこのような社会や環境、現状において、快活に生活をするためには、個人がより自由で自立的であることが求められるが、われわれ日本人はうまく対応できないが人が欧米人より多いように見える。

ここで地球全体を見回すと、今や商品は世界中のありとあらゆるところから調達可能である。これをフラット化という。実は、人材のフラット化も進行している。

そのため、世界的な企業は、有能な人材を企業にひきつけるためには、「世界で最も働きやすい場所」と「世界最高水準の自由度」を有した働きかたを提案し、人材を吸引しようとしている。
これから数年後に本格的に始まる人工知能を中心とした技術革新を脅威として恐れるのではなく、その中でわたしたちは、時間や空間(場所)、年齢や性別、身体的なハンディキャップといったすべての「壁」を取り除いた自由と平等を手に入れることができる。

それをうまく利用しようではないか。利用できる社会を作ろうではないか。

そして、人工知能は多様な働き方を可能にするツールと考えるべきであり、これまでにない強力な武器と捉えるべきだ。

厚生労働省は、「『働き方の未来2035』~一人ひとりが輝くために~」の結論として、希望を込めて以下のように締めくくっている。

――一人ひとりが輝く未来を作るには、子供のころから挑戦と失敗を繰り返して学び、「無から有を生み出す」ことの大切さを教えることが不可欠である。
単に物事を覚えるよりも、「考える」、「友達を作る」、「力を合わせる」、「人を喜ばせる」といったソーシャルスキルや人と接する能力を子どもたちに身につけさせる方が実社会では通用する。
「どんな会社に入るか」ではなく、「どんな仕事をするか」、「どんな会社を作るか」を人生の選択肢と考え行動し、変化に対応していってほしい――

この政府指針をどのように思われただろうか。

1990年から起きた第3次産業革命、それからわずか26年後の2016年に第4次産業革命が始まろうとしている。

主役はもちろん人工知能だ。脇を固めるのはそれぞれ強烈な個性を放つIoT、3Dプリンター、フィンテックたちだ。そして、人工知能が人間を越えると言われる「シンギュラリティ」は2045年どころか、2030年に、いや2020年代には人間と同等かそれ以上の人工知能が出現すると主張する未来学者や研究開発者が何人も現れ始めている。

コンピュータの知能が爆発的に高度化することにより、まったく予期しない、思いもよらない新産業や新しいサービスも数多く出現してくるだろう。しかし、その裏では数多(あまた)の既存企業が競争に敗れ、姿を消してゆく。

このような激変は、10年後、次の10年後というように、これまでの人類が経験したことのない短い周期で、次の第5次、第6次の産業革命が起きると言われている。

考えてみてほしい、ITを中心とした第3次産業革命に乗り遅れた人びとが未だ多くいる中で、今まさに第4次産業革命の黎明期に入っている。これを乗り切れたとしても次の20年後に第5次の産業革命がやってくる。

その都度、わたしたちは見事に変身を遂げていくことができるのだろうか。「わたしは大丈夫!」、と断言できる方は何の問題もないのだが。

ヒトは急には変われない。ヒトが変わるためには長いながい時間が必要なのだ。そもそも生命体には本来の個を守り保存するということがDNAに仕込まれている。

それが生命を維持し、個を存続してきた方法であり、われわれ生命体の宿命なのだから。
                    最終回につづく

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