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【はなまめとアート:思い出日記】STARS展@森美術館②

(5)奈良美智 さん (1959年 青森県生まれ)

5人目は奈良美智さんです。どうしてかわからないのですけれど、奈良美智さんが大好きです。本も何冊も持っています。(数えたら10冊でした。今年の手帳の柄も奈良さんのものです。(奈良さんの手帳はこちら。))なので、奈良美智さんの項目だけ少し長めです。

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HELP (2011)

今回は2017年に豊田市美術館で会えた作品にも、また会うことができてとてもとてもとてもうれしかったです。豊田市美術館での展覧会の時には撮影出来なかったものが今回撮影出来たこともうれしいことでした。【作家の部屋の中から】という展示室には、奈良さんが今まで影響を受けたものが丁寧に、ぎっしり並べられていて、ひとつひとつのものたちがなんだかにこにこしている感じがしました。豊田市美術館の時はこういった展示を撮影出来なかったのですが、今回は写真を撮ることが出来ました。

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作家の部屋の中から(2020)

奈良さんは音楽から大きな影響を受けているといつも語っていらっしゃるのですが、レコードやCDジャケットも壁にみっちり展示されていて壮観でした。この展示室では初期の作品がずらっと並べられていて、観たことが無いものもいっぱいありました。

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R.I.P  初期の頃の作品

『きれいな紙に描くより、すでに何か書かれた紙やチラシの裏みたいなものの裏に描く方が自由に描ける』

とラジオで仰っていたのを聞いて、そういえば初期の作品や今まで見た展示も段ボールだったり、紙の切れ端だったりをよく見かけたことを思い出しました。下の写真のものも、切れ端で出来た作品のように見えます。淡い色彩の作品が多い中で、そういった画風になる前の濃いはっきりとした色が印象的でした。

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無題  初期の頃の作品

『深い深い水たまり』(1997年刊行)の中に、

『メルヘンではない!!
夢でもない!!
現実でもないかもしれない!!
しかし真実でなければならない!!』

とご本人が書いてらっしゃるのですが、奈良さんを好きだと感じるのは、ぼくの中ではここから始まって広がってるのかな、と思っています。

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地雷探知機 (1993)

このお家にまたお会いできたのが、とってもうれしいことでした。
名古屋でも整理券を取って中に入ることができたのがすごく思い出に残っているのです。

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今回は中に入れませんでしたが、覗くことができました。

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Voyage of Moon(Resting Moon)/Voyage of Moon(2006)
           奈良美智+graf
   476.0×354.0×495.0 cm

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混んでいなかったので、中から流れる奈良さんが選曲した音楽を聴きながらじっくり眺めて、制作空間の夜を体験したような気持ちになりました。

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真夜中の静けさがそこにはある感じがしました。

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自分と向き合う時に必要になる静けさです。

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Lonely Moon /Voyage of Moon (2006)
         φ180.0×26.0 cm

大きくて少し深さのあるお皿状のものに描かれた【Lonely Moon】は、まだ実物と出会う前に、ヨシコちゃんのお友達がくれたおみやげの絵はがきの中でお見かけしていて、そこからずっとなんとなく縁を感じている作品です。大きく輝いているまっすぐに澄んだ眼差しがとってもきれいです。黄金色のくるっとふわっした前髪も輝いているように見えます。

奈良美智さんのことをヨシコちゃんが1番初めに知ったのは、吉本ばななさんの作品の表紙だったからだそうです。

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『ハードボイルド・ハードラック』のための ドローイング(1999)

それがこの『ハードボイルド・ハードラック』のためのドローイングです。この背景の不穏さと可愛さとかっこよさと暗さがヨシコちゃんの心をぐっと引きつけたそうです。本の内容とともにこの表紙の絵も忘れられないものになって、そここら奈良美智さんの絵を追いかけているので、実物を見て感慨深そうにしていました。

この本のあとも、奈良美智さんは吉本ばななさんと一緒に本を出していてそちらも大切に持っています。そちらは『ひな菊の人生』という本です。焼きそばが食べたくなる本ですので、夜中に読む際にはご注意ください。

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Miss Moonlight(2020)

最後の絵は、新作でした。

『1枚の絵でみんなの気持ちが豊かになったり、
安心したりするようなものをつくりたい』

そのような思いの果てにできた作品だそうです。この絵の前には座って鑑賞できるように直方体のチョコレートみたいな色をしたベンチが置いてあって、じっくり座って鑑賞できるようになっていました。絵と一対一の時間を取ることができたことがとても贅沢に感じました。

ある真夜中の魔法を体感したような気になる展示室でした。


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今年は奈良さんのN's YARDに行ってみたいです。


(6)杉本博司さん(1948年 東京都生まれ)

6人目は杉本博司さんです。1枚目の写真は『シロクマ』です。画像13

《シロクマ》(1976年)
 ゼラチン・シルバー・プリント
42.3×54.6 cm

1970年代後半に発表された『ジオラマ』という名前がついたシリーズ作品の1つです。自然史博物館に展示されている動物標本を撮影したものだそうですが、すごく生きている感じがしました。杉本さんがアメリカ自然史博物館にあるジオラマを片目を覆って見たところ、生きているような幻覚が見えたという体験がきっかけになってできたものということでしたが、とても不思議でした。もう生命は無いはずなのに、生きているように見えるという感覚は、どこからくるんでしょうか。

ちなみにぼくは、

生きてますよ。


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《Revolution 002 北大西洋、ニューファンドランド》(1982年) 
 ゼラチン・シルバー・プリント
238.8 x 119.4 cm

2、3枚目は水平線の位置が縦になっています。海と空が水平線でちょうど二分された「海景」シリーズを90度回転させた「レボリューション」というシリーズの一枚です。「海景」シリーズでは、「古代人が見ていた風景を現代人も見ることは可能なのだろうか」という問いから作られたもので、「レボリューション」シリーズは水平線を縦に回転させることで、地球の自転など惑星の運動についても表しているそうです。真ん中の真っ白い丸は満月が昇り始めるところです。大昔の時間と広くて大きな宇宙を表現した写真が並んでいました。

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最後の展示だった最新作は30分ある映画作品でした。『時間の庭のひとりごと』という題で、杉本博司さんが設立した小田原文化財団によって2017年に開館した江之浦測候所の四季を収めたものです。この建物自体が、茶室や能舞台、お庭、ギャラリーなどを備えた文化施設で、作る素材や配置、仕上げ全てにあらゆる意味と歴史が込められている一大プロジェクト作品ということでした。自然の営み、壮大な宇宙の法則を観測するために設計された空間になっているそうです。一度行ってみたいです。小田原、行ったことがないんですけれど。

映画が壁一面に上映されているすぐそばに、スポットライトを浴びた『ギベオン隕石』が展示されていました。アフリカ大陸で1838年に発見された隕石で、40数億年を宇宙空間で過ごしてから地球にやってきたものです。【STARS展】のしめくくりが隕石だなんて、なんだか途方もなく広くて大きなものを見ている感じがするな、と思いました。でも、ヨシコちゃんは写真を撮りませんでした。なんだかうまく撮れる気がしなかったから、って言っていました。

こちらのcasa brutusにも江之浦測候所が載っていました。今ならkindled untitledで読めます。写真がとってもうつくしかったです。


しろくまʕ ・ω・ )はなまめとわし(*´ω`*)ヨシコンヌがお伝えしたい「かわいい」「おいしい」「たのしい」「愛しい」「すごい」ものについて、書いています。読んでくださってありがとうございます!