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おかめ納豆さんに謝罪したい

 ピンポーン。
 そろそろ夕飯の支度でもしようかという頃、我が家のインターホンが鳴った。玄関のドアの向こうからは、
「佐川急便でーす」
 と、名乗る声が聞こえる。何か通販でも頼んでいただろうか。思い巡らせてみたが、そんな記憶はない。

 夫がふるさと納税の返礼品でも頼んだのかもしれない。そんなことを考えながら、私は玄関へと向かう。
 ドアを開け、佐川さんに
「どうも有難うございます~」
 そう言うつもりで吸い込んだ息を、私は思わず呑み込んだ。

 佐川さんが抱えていた荷物が、ものすごく大きかったのだ。

 夫よ、一体何を頼んだんだ!
 心の中でそう問い掛けるも、夫は不在である。
 そんな私の様子に、佐川さんも不安になったのか、
「お間違いないですか?」
 と、訊いてきた。
 宛先はきちんと我が家の住所だ。間違いない。しかし私の予想に反し、宛名には、夫の名前ではなく、なんと私の名前が書かれてあった。

 と、いうことは私あての荷物なのだ。

 身に覚えのない荷物。
 しかもその荷物は、ビジネスホテルにおいてある小型冷蔵庫並みの大きさである。こわごわ差出人を見ると、

 おかめ納豆 タカノフーズ

 の文字が目に飛び込んできた。

「あっ! 当たった!!」

 玄関先で思わず大きな声を上げてしまった。
 佐川さんはそんな私の様子に少しうろたえ、再度、
「お……お間違いないですよね……?」
 と、訊く。

 「大丈夫です! 大丈夫です! 正真正銘、私の荷物です!」
 私がそう伝えると、佐川さんは安堵した様子で、爽やかに走り去って行った。

 ドアを閉め、大きな荷物を部屋に運ぶ。
 ダンボールの中身は見なくてもわかっている。中に入っているのは、元競走馬・アドマイヤジャパンがCM出演していることでお馴染みのYogiboである。


 遡るさかのぼこと数ヶ月前、私はせっせとハガキに、商品パッケージから切り取ったバーコードを貼っていた。
 そのとき、おかめ納豆でおなじみのタカノフーズでは、豆腐製品のバーコードを貼ってハガキを出すと、抽選で様々な商品が当たる夏のキャンペーンを行なっていた。その商品の中に、Yogiboピラミッドが含まれていたのである。

 それまで私は、Yogiboにさほど興味がなかった。何だか大きくて場所を取りそうだし、そんなおしゃれな物は、我が家には不釣り合いだと思っていたのだ。

 しかも、このYogibo。人をダメにするクッションとの噂がある。それでなくとも、私は生来、不精で怠惰な性分なのだ。できることなら一歩たりとも動きたくないし、日がな一日何もせず、ぼんやりと暮らしていたいのである。そんな私がダメになるクッションに埋まろうものなら、ダメになるどころか、人間をやめてしまうだろう。
 そんな危険なものに手を出してはならない。
 私は無意識のうちにYogiboを遠ざけてきたのである。

 しかし昨年の12月。そんな私に、Yogiboを鮮烈に印象付ける出来事が起こった。

 私はくなんくなんさんのエッセイや読書感想記事が好きで、毎週月曜日の投稿を楽しみに読ませて頂いている。

 この日のくなんくなんさんの投稿は、500円玉貯金で貯めたお金でYogiboを買うまでのお話が書かれている。その様子がなんとも可愛らしく、読んでいて思わず頬が緩んでしまった。くなんくなんさんはその後の投稿でも、何度かYogiboに埋もれる喜びをつづられている。

 くなんくなんさんのYogiboライフの充実っぷりを拝見するうち、私はすっかりYogiboに魅入られてしまった。

 それに、Yogiboにひょっこり乗っかるペンギンの見出し画像が、何とも愛くるしいではないか。(可愛いので拡大させて頂きます)

 つれづれ雑記 *Yogiboが家に来た、話*より
くなんくなんさんの見出し画像

 このYogiboに乗るペンギン画像を見て私はこう思った。 

 夫をYogiboに沈めてみたい。

 私が言うのもなんだか、夫は人でありながらも、小動物の気配を感じさせる不思議な男である。食後、おなか一杯になりコロリと寝転ぶその姿は、ほっそりスリムで、まるでフェネックギツネのようだ。


 そんな夫がYogiboに埋もれたらどうなるだろう。想像すればするほど、実際埋もれるところを見たくなる。
 しかし、私はくなんくなんさんのように500円玉貯金などしていない。価格を調べてみたら、一番安いYogiboピラミッドでも14000円ほどである。
 夫を座らせてみたい。
 そのためだけに、14000円の出費はなかなか痛い。

 そんなとき、タカノフーズさんの夏のキャンペーンの懸賞商品に、Yogiboがあるのを発見したのである。
 私は保管してあったバーコードをキッチンに取りに走った。そして対象の豆腐商品のバーコードをハガキに貼り付け、宛先や必要事項を記した後、余白に、

「是非、夫をYogiboに座らせてみたいので、どうぞよろしくお願いします」

 こう、書き加えたのだった。
 そしてタカノフーズさんは、そんな私の願いを叶えてくださったのである。

 夫の帰宅後、早速当選したYogiboに夫を座らせてみた。

(注・実物ではありませんが、
本物も大体こんな感じです)

 Yogiboに埋まる夫を見られて、私は大満足である。これも全て、Yogiboを送って下さったタカノフーズさんのおかげである。

 ちなみに一年ほど前、私は懸賞応募の思い出話を投稿している。

 この話は、私の母がおかめ納豆の懸賞キャンペーンに対し、
「あれは、本当に当選している人がいるの?」
 と、疑いをかけるところから始まっている。

 母の無礼極まりない発言を、私は心から謝罪したい。そして母には、きちんと私の方から、
「あれは、本当に当選している人がいるんだよ」
 そう真実を伝えたいと思っている。

 タカノフーズさん、素敵なYogiboピラミッドを送って頂き、本当に有難うございました!

Yogibo Pyramid (ヨギボー ピラミッド)



 疑ってごめんなさい!
 そして、有難う! タカノフーズ! これからも納豆と豆腐を食べ続けます!

 くなんくなんさん、記事の引用させて頂きました! 有難うございました!



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