いびつな愛情

いびつな愛情 第12章 ~対等なセックスとは~

 MYさんとのセックスが思いのほか良くて、私は逆に罪悪感が芽生えました。実にそれが、私にとっては六年ぶりのセックスだったのです。三十代になってから、夫以外としたことはなかったので忘れていましたが、二十代はこんなに余裕のある営みは一度も経験したことがありませんでした。それらはただ、男性に付き合って、相手の射精を応援するような、そんなスタンスでした。それは別にそう強要されたわけではなくて、私がなんとなくそういうものだと思っていただけのことですが。

 でもMYさんとの行為では、どこまでも対等でした。ここがスターバックスなのではないかと疑うほど、カジュアルで自然な行為に感じられました。
 嘗て夫としていた時もこういうリラックスした感じはなかったので、逆に申し訳ない気がしてきたのです。なんか私一人で知らない世界に足を突っ込んでしまったような、そんな優越感に似た罪悪感がありました。
 それでも私はやはり、罪悪感という感情をどこまでも軽視しているところがあります。それは所詮、自己弁護の感情だから、いちいち付き合わないようにすべきだというような、そういう思いで自分を律しようとするところが常にありました。つまり私にとっては、罪悪感を覚えることでどこか免罪符を乞うような、そういう打算的な感情に他なりませんから私は普段から、罪悪感の先にある感情に目を向けるようにしています。

 今回そこには、恍惚とした好奇心がありました。

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