【記録】レトリック事典(2022年2月頃)

※レトリック事典を読んだ直後のフレッシュな感想を発掘したので以下に張るのみです。


 文字を読むのが遅く得意で無い為に、普段から本を読まず、本を読んだ経験の浅い自分にとってのおよそ人生で30冊目くらいに当たる本。
 今後文字を書く上での基礎になるかと、また自身にとっての今後の文字書きの可能性について思考するための材料になるかと購入したこの本は、やはり自分には些かレベルが高すぎたのではないかという感想がある。
 自分には、一日中読み倒して一日あたり百ページから二百ページという進捗が限界で、最終的におよそ時間にして丸々十日間程、実際の時間にしておよそ一ヶ月間程かけて目を通した全八百ページ程もあるこの本は、言わば名の通り事典であり、その目的通りに自身にとっての勉強であり、それを読む事は例えるなら義務教育間に与えられる上下巻ある国語の教科書を丸一日かければ上巻の一冊は丸々目を通す事が出来るのではないか?という様な話であり、本来であれば授業のある一日に一時間をかけ、そしてそれを半年程かけて吸収する事を想定されている筈のカリキュラムにおいて、ただ自身の時間が許すという理由でひたすらに読み進めるという背徳感とも言える様な、その様な自身にとって正しい行いが出来ているのかという不安(内容が頭に吸収されているのか疑わしい)が付き纏う。
 単に文章を書く上での技法が載っているくらいの軽い認識で触れたこの本の内容は、無知の人でも内容を五十ページ程読み進める迄にはこの本の読み方(在り方)が凡そ経験と共に予想できうる事ではあるものの、レトリックとは日本語のみならず西洋の古代ギリシアから続いている歴史ある学問についてであり、この本はそれに纏わる様々な学問書、様々な研究、現代までの多くの文学を読み解いた上で、それらにおける技法を総括せしめんとする著者等の研究であり、提案であり、それを踏まえた上での事典となっている。それ故に物事の一つを説明する為に現在迄の様々な文献、仮説、提案、研究を引用し、それを時に否定し、時には肯定して物事の説明を図るこの本は、とても初心者向けとは思えず、様々な文献を読み漁った上でいつか辿り着くべき解説書であり、提案であり、問題提起となる本であると感じる。
 やっとの思いで目を通すことこそ叶えられたものの、そう感じる程に自分はこの本の内容を拾い切る事がついぞ叶わなかったと感じる。これを読み解く為に触れる必要のある他の文献について思いを馳せると、とても軽いとは言えない眩暈が起こるため、現状この一冊の他に手を出す事は無いであろうと言える。
 本に疎い自分は当然の事ながら著者等については詳しく無いが、日本語だけでなく海外の文献についても多く触れているこの本は日本語の勉強という枠を超えている印象であり、実用的なところを想定するのであれば勿論日本語の文章を書く際にも役立つものであるが、どちらかと言えばこれは海外の文章を日本語に訳す際に如何にして海外のレトリックを理解し、それを日本語のレトリックに嵌めて訳しうるかというところまで想定されている印象を受ける。
 これらの可能性について已む無く目を瞑り、自身のみの目線で手応えを述べるのであれば、この本は普段から何気無く使っている言葉や、普段から何気無く目に入る文章を単語別に、用途別に、本質別に、細かく丁寧に分解し解説した本であり、それは元々知っている日本語についての復習であり、元々知っている構造の分類に気付きを与え、更には自身が書く文章に対してそれの本来意味するところや、この先の一文字やこの先の一文に使用する文章(使用する単語、連結する単語、文末など)の可能性を大きく広げる事が叶えられたのでは無いかと考える。
 が、しかしのところ残念な事にその様々を実際に今後も積極的に使ってみなければ身にならないというのも事実であると思えるし、でなければ質を持たないのにおよそ一秒程文章を書く際の思考時間が伸びる結果を齎す"だけ"になるのでは無いか、というところもまた、正直な感想ではある。
 とても疲れました。


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