マガジンのカバー画像

恋模様

47
恋模様 儚さ
運営しているクリエイター

記事一覧

【詩】冬が来る前に

頬が時々ポツンと濡れる 降ってか降らずか小雨空 すぐにこの雫も雪になる 白く染まる季節になる もう消えてしまった足跡の ぬくもりを探さぬように 心の暖め方を思い出す もう失くしてしまったつなぐ手の 愛しさを探さぬように 私の暖め方を思い出す 冬に追い付かれる前に

【詩】こころの音

落ちる髪には音もなく 私だったものが 消えていく 離れる心にも音はなく 二人だったものが 消えていく 響かなくなったことに 気付けないから 気付かない 二人が遠くなった夜 心をもっと 澄ましていたなら あなたから 私が落ちていく

【詩】こころの風景

純粋なそよ風に 全身をまかせ 隅々までが 蒼い透明に 浄化された瞬間 心が到達した場所は 遠い昔 気恥ずかしささえ 無垢と呼べた 憧れだけで 過ぎていった あなたの微笑む 風景でした

【詩】時の波間に

緑溢れて佇む街は 今もやさしく 私に微笑む あの頃のままに 時が立ち止まる 変わらない物が 変わる私を映し出す 切なさも 過ぎた想いの今の姿 懐かしさも 通り過ぎたあなたの香り やっと終れた寂しさも 揺れる光に流れゆく すべては時の波間に またはじまっていく

【詩】扉

閉まる扉の音が 丁寧に冷たく まるであなたの心が 閉じていくよう 舞い込む風に 名残りの色も 見えなくなって 部屋が心が寒くなる 残ったのは 分かり合わなかった幼さと 乗り越えられなかった哀れさの なれの果ての涙跡 もう手遅れの ごめんなさいも 閉まった扉が 遮るばかり

【詩】幼い心

日暮れを早める雨の中 水しぶきを上げながら 急ぎ足の車の音に 思わず避ける足取りが 心を映してぐらついている 積み上げてきたものが 揺らぎ始める不安の中で 揺らぎ出すその脆さに 歩んだ道の儚さを知る 積んでいたのは幼い心の 浅はかな思い込み 積んでいたのは憧れの かりそめの恋心 頬をながれていくものが 雨か涙か嘘か本当か 分からずじまいの 私自身の頼りなさ

【詩】一人歩き

梅雨の晴れ間が まだかまだかと 夏を呼ぶ 青い陽射しの勢いに なぜか心も急かされて 日傘で避ける 時の流れ 一人歩きの始まりは 心細さが惑わせる 残る想いにつまずいて 季節だけが過ぎて行く 今あなたは 何処を歩いていますか

【詩】二人

寄りかかって来る やわらかい暖かさに 安らぎを 寄りかかりながらも 失くさない気遣いに 真心を そんなものを 与えてくれる存在に 頼っているのは 私のほう きっとあなたも同じかな そういうのが一番良い

【詩】いつかの夏

手をかざす眩しさが そろそろ傘仕舞いを 告げる頃 また会う夏に あなたを思う もう熱くはない でもまだ暖かい そんな絞るような切なさも 幾度の夏が過ぎゆく中で いつか私の花になる 今年の夏は まだ面影を乞うている

【詩】声

ずっと響く雨音が 部屋の中を流れて 空気をそっと濡らしていく 心にも染み入る雨が あるならば かりそめでも 満たされるかな 心を揺さぶるあの声を 今でも思い出せたなら 一人でも 満たされるかな 思い出は いつも静かすぎて

【詩】一緒に歩く

もどかしい雲が居座って あなたの笑顔が あなたの声が 遠くなる 払ってみても 私だけでは動かない 立ち込める不安なら 私だけでは消せはしない こんな時は手を繋ぎませんか もっと一緒に歩きませんか 雲が晴れるその場所まで

【詩】ひとり

雨音が 雫を連れて舞っている 今日が濡れている しっとりとした霧の中 心だけがカラカラと 泣いても泣いても カラカラと 渇きの音が鳴っている あなたがいなくなって 初めて気づく 一人ぼっちの音

【詩】雨のち晴れ

日差しが 雨の匂いを通り抜け 雫をきらきらと揺らしている 目に映った眩しさが 爽やかに心を吹き抜ける 彷徨う心の 白い霧 迷う想いの 厚い霧 流れて薄れて見えたのは やっぱり暖かいあなたの言葉 やっぱり優しいあなたの笑顔 心を少し背伸びして 青空が見えたなら また笑ってくれますか

【詩】いたずら

わがままに風が笑っては 髪を乱して過ぎて行く 目には見えない悪戯小僧 風の気まぐれ あなたの気まぐれ 甘い色を灯しては 素知らぬ顔で吹き消して 私の心を揺らすばかり いたずら退治に忙しいのに 心がなぜか賑わって いつしか軽くなっていた 風のような人でした