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【コラム】保育士は子ども好き?

あなたはなぜ、保育士をしていますか?

私は物心ついた頃から自分より幼い子に対し『可愛いなあ』と感じ、よくお世話をしていました。中学生時代の職業体験でも幼稚園へ行きましたし、『私は保育士になるんだ』と早い段階で決めていました。

そしていざ保育士になってから、こんな言葉をよく聞くようになりました。
『保育士って、子どもが好きなだけじゃ続けられないよね』

その言葉は、『好き、の気持ちだけじゃ続けられないほど保育士の仕事は大変』という意味でよく使われていましたが、ずっと私の心に残り、ふと思い出すのです。

『そもそも私って子どもが好きなのかな?』

可愛いと思うことはあれど、好きかと言われたら答えに迷ってしまう。
子どもが好きだから保育士をしているの?と聞かれたら、イエスと言えない自分に気付き、戸惑った。そんな私は保育士を続ける資格があるのだろうか、と。

そんな悶々とした気持ちを抱えていた時、ネット上でこんな言葉と出逢った。

『保育士だから子ども好きとは限らない』

私は衝撃だった。え?好きじゃないのに保育士でいていいの?子どもが好きじゃないならなぜ私は保育士をしているのだろう、と自分が保育士で居続ける理由探しが始まった。

今の職場に転職して管理職となってからやっと学ぶ時間を確保できるようになり、ここ数年保育について学び続けている。

その学びの中で私は気付いた。

『私は保育という仕事が好きなのだ』と。
もっと言えば、小規模認可保育園での保育に魅力とやりがいを感じている。

保育という仕事は、子どもを可愛がることじゃない。私にとって『保育』とは、子どもに寄り添い続けること。小規模認可保育園では、ほとんどの子どもが人生で初めて通う場所となる。だから私たちは、その子が家族以外で初めて深く接する他人となるのだ。

以前、0才児の担任をしていた時に保護者に言われたことがある。

「はな先生のおかげで、(その子の名前)は大人は信じられる存在だと感じられたと思います」と。

私たちにはその子の人生に関わる責任がある。大きくなった時に乳児期の記憶は思い出せないかもしれない。でも、人生の土台を作る大切な時期の経験は心に根付いて、いつか芽を出す。『何か分かんないけど、子どもの頃から本が好きなんだ』、『恐竜に興味があってずっと調べているんだよね』とか。それはもしかしたら、乳児期の過ごし方が関係しているのかもしれない。

関わった私(保育士)のことは忘れて構わない。むしろ忘れて前を向いて楽しく生きてほしい。でも、そうやって子どもの人生の中に乳児期の体験が芽を出すのだとしたら、とても嬉しいと思う。と同時に身が引き締まる。

保育士は黒子でいい。子どもに何かを教えたり、出来るようにさせる存在でなくていい。子どもは自ら育つ力を持っているのだから。私たちができることは、子どもの想いに寄り添うこと。子どもの興味関心を引き出し環境を整えること。子どもが現在をより良く生きるため、最善を考えることだと私は想う。

私は保育という仕事が好きだから、保育士をしている。

あなたが保育士を続ける理由はなんですか?


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