マガジンのカバー画像

サンドウ庵

31
運営しているクリエイター

記事一覧

78| 山帰来

 遡ること、入梅の小茶事の前の日。    お花を担当されたI氏が、山野草を山ほど抱えて、サンドウ庵にご登場・・・。その数、9種・・・。 えぇ、ちょっと買い過ぎです。だいぶ余裕をもって、予算オーバーしとります!(笑) でも、その気持ちはよくわかる。わたしもしょっちゅう、おんなじことを。  都市部に暮らす私たちにとって、日々に相える機会の少ない山野草を前にすれば、それだけで、心はよろこび、有頂天に…。その瞬間、リミッターなど、もはや何処・・・!?!(笑)  山野草や、野の花々

77| Fountain(泉)

  後日談、と、いうほどのものでも、ないのですが‥。(笑)お帰りになったあとのサンドウ庵の壁には、貼りっぱなし、そのままのお手紙が…。  全員が亭主であり、主客でもある、変則的な小茶事…。皆で紡ぎ、皆で繋ぐ茶事。  源泉から溢れ出、あらゆるものの中を、遍く流れているもの。  すべての存在を潤し、そのいのちの修復や再生、新たな創造を助け、導く波は、いつも、余すことなく瑞々しく、すみずみにまで、大切に運ばれています。  受け入れ、流れるままにし、感じ、信頼すると、それら

75| 水の月へ

 十薬(どくだみ)草。 都市部にも、あちらこちらに生い茂り、頂いてきてあちらこちらに挿していたのですが。 山方からのおくりものも、より一段と、大きくみずみずしく、生き生きと。  先日、出がけに、家の前で長靴姿のご近所さんとすれ違うと、両手に持たれた業務用の大きな黄色い袋に、無数の白と黄の点が、ぎっしりと透けてみえました。 薬草茶などにされるのかな?それにしても大量だな・・など、こころは弾んで踊る。お聞きするのがたのしみです。  山から梅の実も分けていただき、手分けして梅仕

74| 慈雨

 四月下旬から五月中旬にかけて、様々な場所に出向き、多くの方々との交流を得ました。 また、短い期間に、たくさんの来客を迎えました。   ー宝物のような体験、と書くと、どこか浮ついたようにきこえるかもしれませんが、そう書くほかにないように思う、、、そんな時季でした。  全方位を、体験として、重ねていくこと。 出会い、思い出してゆくこと。それがそうあることを慈しむ、ということが、そのまま、きこえて、響いてくるような。  いくつかの久しぶりの再会のなかに、大学時代と、高校時代

72| ハハウタ

 わたしをよく知る友人に、「はなおは眠り姫やからなぁ〜」と形容されるほど、季々折々に、よく寝ることがある。  寝相など、アクロバティックであることには自覚があるけれど、自らの肉眼でその様態を確認するのは、なかなかに難しいことである。 ところが近年、数々のスクープ写真にうつし出されている、眠り姫とはチョット口がサケても言えない実態に・・・。ちょっと目を、まあるくしている次第‥!  2018年5月に、初めて坂本さんと東京でお会いし、個人セッションを受けた際、満円の笑みで「スイ

64| 生命の間

 先日のヘアカットで、数年ぶりに前髪をつくった。 前髪だけでなく、軽く、新しい感覚も気に入って楽しんでいる。  カットの翌日、アフターフォローのメッセージを寄せてくださったあかりちゃんに、髪の綺麗なラインのわかる写真を数枚、お送りした。  あかりちゃんをお迎えした際、『茶 挑戦』の掛け物をみられて、 と、言っていらしたことを思い出し、 「ユニークな、『茶』の書き主さんがうつっています(笑)」と、添えると、  賢さんにもシェアすると、  と。・・・いや、まったくだ!(

58| 鶯

 鳥の鳴き声。動物の遠吠え。風の音。木の葉のさざめき。虫の音も、四方八方より多重奏。蝉時雨など。  あちらこちらから、ユニークでたのしい、音の響き。 自然にききあうのか、息をあわすのか。 個はそれぞれ自由奏だとしても、やさしいハーモニー。宛ら、360° ホール。  夕方、明るい星々から送られてくる様々な音に包まれ、こちらからも参加し、音階に加わりながら夕食をつくる。しずかで穏やかな時間。  たくさんの音に紡がれ、今夏を楽しむ。 音なき音、生命の奏でる音、細やかな振動、

56| Flowering

 12月には蕾だった水仙の花が、ゆっくりその花弁をひらく頃。 半年ほど、自宅で療養されていた賢さんのお父さんが、帰天された。 夜から朝にかけて、名古屋では珍しいほどの大雪となった日。 その日が、お父さんがご自宅の大地の家ですごされた、最後の一日になった。 □入り口  出会った頃に、「父は医師からあと5年くらいと宣告をうけていて、ちょうどもう、それくらいになる」と、聞いていた。  大地の家ではじめてお会いした日の、朗らかで、優しい、包み込まれるようなやわらかな波動。生き仏

55| 澄むまま溢れるまま

 およそ、〈快適な旅に〉とは程遠い気候環境の中、2019年8月以来、4年ぶりに島根に帰省。 5月か6月の気候のよいときに行くつもりが、片づいていないことがいくつもあり、幾度か順延。 島根で予定していた諸用もキャンセルするなどして、流れを見守ることに。  賢さんからのあと押しもあり、両親の帰省のタイミングとすりあわせて、8年ぶりに共に。 **  2年前の10月初旬。 島根をご案内する旅を企画して、イベントをたてた。 夏頃から感覚のうちに響いていた『MOVE』を、素直に

53| かみ迎え

 立冬を迎える前の1か月は、岡崎に居住しながら、毎週末、東山の新居に通い、掃除をしました。  風に乗るように、運ばれたところ。当初は、築年数ある古い場所を、少しずつリノベーションしてゆく予定で、 “さすがにこの和室では、手を加えないとお茶はできないかな・・。” “サンドウ庵の再開は、早くて年明け頃かな。” …と、思っていたのですが。 …と。そう、たしかに受けとるのなら、 『え?はい・・・了解です…。』と、ご案内を出してみる・・・のでした。  お客様には、岡崎でも私たちの

50| 自生

 春分点をこえて、また新たな領域へと、少しずつ、その歩を進めています。 先日、ふたたび愛知県岡崎市街から、額田郡額田町本宮山のくらがり渓谷まで。  季々折々、訪れる道中にある、石積みや杉、松などの美しい天恩寺や、宮ザキ園さん、そしてくらがり渓谷など、ひとつひとつの場所の素晴らしさも然ることながら。 市街から山間部へ、乙川〜夏山川〜男川と、川をつたい併流する道行きにある、目の覚めるような感覚や発見に、洗われて、チカラを取り戻すような体験をします。  *** 2022

49| 風のみちひき

〈いり口〉 松無古今色、竹有上下節、梅自発清香 〜松に古今の色無く、竹に上下の節有り、梅自ずから発いて清香あり〜  自宅で稽古するのに、「フローリングでは膝小僧が痛い・・・。」と、クローゼットに仕舞われていたラグを拝借して、稽古しているうちに生まれていたサンドウ庵(可動式!笑)。 実際には、フローリングにラグ一枚では膝下に受けるやわらかさや弾力性が足らず…。こんなことが、畳の機能性や、畳にすわることそのものの素晴らしさにあらためて気づかされる機会にもなりました。(笑)

46| 通いあう和らかな水

通い合う水の、湯たか。  葉蓋。 その名の通り、水指の蓋のかわりに、木の葉を蓋とする扱いのことをいいます。 由来は、裏千家十一世家元の玄々斎が、ある年の七夕の趣向の茶会に、家元が好まれた末廣籠の花入の受け筒に、梶の葉を蓋にして、水指に使用されたのが始まりのようです。  長年、七夕のある七月のお茶のお稽古には、葉蓋を扱う点前と、洗い茶巾という、水を張った平茶碗を持ち出し涼を呼ぶ夏の点前のふたつを、その季にのみ用いることのできる茶趣として楽しみにしており、6月のお茶のときか

43| 自然の創造

〈いり口(ご案内)〉 参加者の方から、会の数日前に、 と、ご連絡があり。 「もちろんです!よろしくお願いします。」と、ご返答差し上げたところ、ふたたび会の前日に、 「お花としてライ麦を持って行きます。」 と、写真と共に、メッセージを受けとりました。  季は梅雨入りを迎える少し手前。 正直に申し上げマスと、 ・・・と、あまりピンときていなかったわたしは、 紫陽花を、用意していました。  午後になり、ドタドタドタと、大きな荷物と、新聞紙に包まれたライ麦を両脇に、エネル