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季節外れの花火かと思ったら

 夕食を食べに食堂に降りようと廊下に出た瞬間、何だか焦げ臭い匂いがした。
 ん?何だろうと不思議に思った。
 それは線香花火をした後の残り香にもよく似ていた。
 あーこれはドリカムの曲のごとく、きっと誰かが向かいの公園で季節外れの花火でも上げたのだろう。
 そんなロマンティック、いやのんきな創造が駆け巡ったのも束の間、遠くで利用者さんとスタッフさんが話しているのを聞いたところによると、どうやら最寄り駅の南側辺りで住宅火災があったようで、今も火の手が上っているそうだ。
 季節外れの花火かと思ったらとんでもなかった。
 食堂でもこの話題で持ち切りで、厨房のスタッフさんによると、窓から遠くの方で黒い煙が見えると言っていた。思っていた以上に大変なことになっているようだ。
 夕食を食べながら改めて考えてみた。
 ここから最寄り駅の辺りというと、私の足で歩いて片道30分ぐらいの距離だ。それだけ離れているところからの煙が、風向きの関係でこちらまで飛んできているだなんて…!
 火事の恐ろしさを強く実感した。一刻も早い鎮火と、負傷者が出ていないことを願うばかりである。

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