KOJIKI<倭建命④>
出雲国は出雲建という国神がおさめていました。
この古事記のはじめの主人公だった大国主命の存在です。最初に地の国で国造りを行い、天照御神に国譲りした神様です。大国主命の国つくりのはその知的な考えと、男前な神で大変モテたという伝説からもわかるように、各地の国神の比売と縁戚を結んでいます。
その範囲は東は越(越後)、西は宗像(筑紫)に及びます。もちろん、それなりに色恋の揉め事はあったようですが・・・。
良質の砂鉄を産する出雲は古くから「たたら」という和式製鉄が盛んな国。そして日本海の制海権を握り、沿岸に一大勢力圏を誇っていた出雲国は天皇のいらっしゃる大和朝廷からすればどうしても「服従」をさせておきたかった場所です。
倭建命はここでも、知略ぶりを発揮します。「はじめまして」と出雲建と言葉をかわし、徐々に出雲建と親交をかわしていきます。
倭建命はいちいの木で密かに贋刀(木刀)を作りました。それを、脇差にさし、出雲建と一緒に斐伊川へ水浴びに行きした。先に川から上がった、倭建命は出雲建の刀をみて、「剣を交換しよう」と言って出雲建の剣を身につけました。
後から川に上がってきた出雲建は木刀とも知らずに、倭建命の刀を身につけます。
「さぁ、太刀合わせをしよう」と倭建命は剣を抜きますが、出雲建は剣が抜けません。そしてあっさりと、倭建命に討たれてしまいました。
なんとなく、ひどい・・・と感じるかもしれませんが、須佐之男命がヤマタノオロチを泥酔させて退治するお話と同様に、知略がなければ国を守ることも治めることもできないという事例ですね。出雲建は出雲で最後に大和朝廷と戦った国神でした。
ところでこの「いちいの木」とは、赤檮木とも書き赤い実のようなものをつけるそうです。この木は日光二荒山神社中宮祠には「勝ち運上昇の御神木」として祀られています。
出雲建は出雲で最後に大和朝廷と戦った国神でした。
倭建命はこうやって西の方を連戦し服従させ、この後、天皇のいる大和へ戻ります。どのくらいの場所を遠征したのか、古事記ゆかりの地マップ。これ見ると倭建命がどのように西へ遠征したのかもわかるようになっています。
http://www.pref.nara.jp/miryoku/narakikimanyo/yukaritimap/index.html
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