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燃やしてしまうかも

みなさんおはようございます。こんにちは、もしくはこんばんは。はじめましての人も。

煩わしい前置きはすっとばすことにして、今回は(今後もできれば)気持ちの続く限り好きな音楽についてお話します。


なるべく少ないカロリー消費(長く続ける為にも)で書くこと心がけたいところですが、初回ということでついつい思入れのある作品からご紹介。


はっぴいえんど「風街ろまん」


誰がなんと言おうと、大名盤といって間違いなしの有名な作品。1971年発表。このアルバムに収録された曲々は、後に様々なミュージシャンにカバーされています。

前述した通り、評価の高い有名な作品のため私が語る余地のない作品ではありますが。


先ずは何と言っても、これでしょう。


はいっ、みんなどっかで聴いたことあるやつー。近年ではTVCMでサカナクションのカバーver.が流れていたみたいですね。

はっぴいえんどの音楽性について、当時のアメリカンロックの影響を受けていることをメンバーも公言していますが、この曲はどことなくジェイムス・テイラーを感じます。

「風をあつめて」は、バンドのベーシスト細野晴臣氏が作曲しヴォーカルをとった曲で、当時、細野氏の作品の多くにジェイム・ステイラーの影響を感じます。素朴な歌い方、だけど声渋すぎ。この頃まだ20代そこそこ(驚)。この曲が写出す情景を描くには、間違いなくオリジナルの歌唱が一番しっくりときます。


それから個人的に触れておきたい曲といえば、アルバム1曲目を飾るこちら。


世の中には「抱きしめたい」というタイトルの名曲がいくつか存在しますが、私が推したいのはビートルズやミスチルのソレではなく、はっぴいえんどの「抱きしめたい」。

いくらギターを歪ませたり、楽器の音を重ねようが、簡単にはマネできないヘビィなサウンドがそこにはあります。ドラムのフレーズも決して音数に頼ることなく、独特なフィーリングを感じます。

そして風街ろまんを語る上で欠かせないのが、そのドラムを叩く松本隆氏が紡ぐ歌詞の世界観です。はっぴいえんど解散後は本格的に商業作詞家としての活動を開始し、今では日本を代表する作詞家として有名ですね。

みなさんもご存知でしょうけど、この名曲の数々は彼の作詞。↓↓↓ (なんかリンクできなさそうなので気になる方はURLで検索してください)

https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DX3M0QV8k4Pgs?si=0d536LSDRmWkRRIISHUIGA


この「抱きしめたい」についても改めて歌詞を読んでみますと、どうやら"ぼく"は列車に乗り込み"きみ"の街まで向かっているといった内容です。

歌い出しのシーン。車窓に映るは、後方へ飛ぶように遠くなる田舎。そこで

ぼくは烟草をくわえ 一服すると
きみのことを考えるんです

この一節、めっちゃ好き。わかります?

"一服すると〜"のあと一瞬演奏がブレイクして「スゥーッ」と微かに烟草を吸う音が聴こえたり、遊び心も感じられます。しかし列車内でタバコなんて、時代ですね。今では新幹線の一部車両くらいかな。

曲が進むにつれて、舞台は冬だとか、銀河をまっしぐらだとか、なんとなくストーリーや情景が掴めてきます。

そしてクライマックス。"きみ"のことを抱きしめたい"ぼく"は、そのとき、トンデモナイことを示唆します。

飴色の雲に着いたら
浮かぶ驛(えき)の沈むホームに
とても素速く 飛び降りるので






きみを燃やして
しまうかもしれません


そう言い放ったあと曲はアウトロを迎え、例のヘビィな演奏だけが残りやがてフェードアウト。いや、狂気!


ここからは先は私の偏見を交えた考察になります。なぜ"きみ"を燃やしてしまうのかについて。


まず、歌詞を振り返ってみると最後まで"きみ"を抱きしめたいという直接的な表現を、曲中では用いません。

ただ、タイトルに「抱きしめたい」と銘打っていることから、"ぼく"の"きみ"に対する気持ちがなんとなく窺えます。

きっと"ぼく"は"きみ"へ、人知れず熱い気持ちを抱きながら、列車に揺られているのでしょう。

そして"ぼく"は想像します。銀河のような雪景色を抜けて、その熱いものを携えやってくる待ち人を驛のホームで迎えるために冬空の中、凍える身体を小刻みに震わせながら列車が到着するのを待つ"きみ"の姿。

冷え切った"きみ"の姿を。


やがて列車が到着しドアが開いたとき、"ぼく"はホームへ颯爽と飛び降ります。

そのとき、"きみ"を見つけた"ぼく"の想いは最高潮に達し、熱い気持ちはマグマが溢れ出するがごとく、その心と身体で以て、冷え切った"きみ"のことを抱きしめる。さて、"きみ"はどうなることを想像しますか?







そうです、その熱さのあまり燃やされてしまうかもしれませんね

情報源ははっきりとしませんが、松本隆氏の発言に「ラブソングを突き詰めると、生と死の間に入る」というようなものがあったのを記憶しています。

拡大解釈かもしれませんが、この「抱きしめたい」からもそういったニュアンスが受けて取れます。愛しているでなく、ましてや燃えるようなでなく、燃やしてしまうなんて表現。


それでいて彼の紡ぎ出す日本語詩は響き自体が美しく遊び心があり、巧みな情景描写も相まって重々しい印象を受けません。

今回紹介した「風街ろまん」。他にも伝えたい魅力がいっぱい詰まった作品でありますが、サブスク等でも視聴できるのでまずは一度、アルバム通して聴いてみて欲しいです。
音、詩の世界を楽しみ、そして気に入ったのなら是非、CDやレコードを手にとってモノとしても楽しんで頂きたい作品です。


意気込まずにと心がけたつもりですが、ついつい余分なカロリーを消費してしまいました。その上歌詞の考察のくだりとか、訳の分からない駄文になってはいないかと顧みてはいるものの、とりあえずはまぁこんなかんじで。


明日起きて、改めてこの文章に目を通したら、顔から火が出て記事ごと燃やしてしまうかもしれません。


最後にそんなこと書くからあとで恥ずかしいことになるんですよね。ではまた〜。

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