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6〜10分の物語

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6〜10分で読めるオリジナル短編小説を収録。 文体や読後感は、それぞれ違います。 1分600文字くらいで読めるかな、と適当に計算した時間です。
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記事一覧

ちりんブルドッグ

 僕がその男と出会ったのは、ちょうど一年前の春だった。  豊島区にある、風がそよっと吹い…

半径100m
1か月前
108

ピンクのキープS

 私の頭に、変なものが生えてきた。  にょきにょきにょきにょき、生えてきた。  あなたの頭…

半径100m
1か月前
152

ばあちゃんと 稲穂と どら焼きと

「私はいつ死んでもええんよ。やることは全部やったけん。思い残すことなんか、なんちゃないけ…

半径100m
2か月前
116

スタンド バイ ユー

《賢治 Kenji》  僕は先輩から貰ったコンドームをポケットから取り出し、太郎に見せた。 「…

半径100m
3か月前
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あんぱんあはは

 新しいパン屋さん、見つけたよ!   あんぱん求めて半径100km! 「ねぇ、あんぱん、好き?…

半径100m
4か月前
185

金髪な心意気

 私は公園のベンチに座って煙草を吸っていた。頭を逸らして、天に向かって煙を吐く。  明香…

半径100m
4か月前
122

愚痴回収ボックス

 最近、気になることがある。朝、目覚めると、妻の琴音が家にいない。  カーテンの隙間から朝の光が入り、白い壁の上でちろちろ踊っている。それを眺めながら、僕は耳をすます。  しばらくすると玄関ドアの開く音がして、琴音が帰ってきたのが分かった。キッチンで冷蔵庫のドアを開ける音して、コーヒーの匂いが寝室まで漂ってくる。  僕は起き上がり、キッチンへ向かった。 「どこに行ってたんだよ?」  トマトを切っていた琴音が顔を上げ「おはよう」と、化粧をしていないすっきりとした笑顔を見せた。