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人の金で焼肉

つい先日、〝人の金で焼肉を食う〟と言うイベントが急遽発生した。
10年以上振りに焼肉を食べた。
なんと突然目上の方が連れて行ってくれたのだ。
僕は食に対して興味がないを通り越して無欲。できることなら光合成でもなんでもいいから何か別の方法で栄養を摂り込み生命を維持できればな〜と思ってる側の人間だ。そして焼肉はやる事と考えることが多い気がして自由にお金を使えるようになってからもなんとなく店に誰かと食べに行くことを敬遠していたので焼肉を食べに行くのは10年以上振りだった。
初めてきた店でよくわからずメニュー表の中で一番大きな写真と文字のコースを頼んだ。店員さんから汁物を豚汁か海藻スープの二種類から選んでくれと言われてなんとなく海藻スープの方にした。連れて行ってくれた目上の方は豚汁にしていた。
すぐに運ばれてきた野菜とキムチを食べながら「急に寒くなりましたね〜」とかちょっとした隙間を埋めるのに便利な会話をうまく使いながらご飯と肉を待った。
ご飯と肉、汁物が運ばれてきて目上の方の方に海藻スープが置かれ、自分の方に豚汁が置かれた。置かれた瞬間逆だと気付いたけど目上さんはすぐ肉を焼く動作に入った。確実に逆の位置に置かれた汁物をどう処理していいか答えがみつけられずとりあえず口を付けずそのままにして自分も肉を焼いた。
〝10年以上振りの焼肉〟だと特に伝えることはなく〝10年以上振りの焼肉〟を食べ、ご飯を減らしていった。10年以上振りだからかただ自分が不器用なのか、かなり忙しい食事方法だな…と考えていた。網の上に次々と肉を置き、頃合いを見計らって良い感じに焼けた肉からどんどん食べていく。肉は当然焼いてから食べる。ただし焼き過ぎてもダメ。目上さんが網に置いた肉を勝手にひっくり返していいのかダメなのか。目上さんの左手のすぐそばの海藻スープはどうするのか。忙しい…難しい…そして机の上が燃えてると顔が熱い…あ、こう言う感じがあんまり好きじゃなかったんだ。と思い出しながら肉とご飯を交互に口に入れていった。
汁物で少し口の中に潤いが欲しい。ただ状況が状況だ…。自分のすぐ側の手元には目上さんが頼んだ豚汁。完全に自分の〝陣地〟に置かれた〝自由ではない豚汁〟だ。待てと言われたら待つのが辛いのが犬と人間だ。どっちがどっちの汁物を頼んだとかどうでもいいから肉、米以外に口に入れるもののオプションとして汁物を加えさしてくれ!と願った。
しかし目上は「これよりこっちの方が下味がついてるから〇〇」と味の感想を言いながらひたすらに肉を焼き、米を食べた。
結局自分が頼んだ肉と米を全て食べてから目上は〝海藻スープ〟を口にした。
僕の方が食べるのが遅く、肉も米も〝豚汁〟も残っていた。
クソヤロー…
待たすのは悪いと思い〝豚汁〟で残り少ない肉と米を流し込んだ。

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