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〜妄想夢劇場〜高橋一生からの贈り物

(注)この物語は、我慢の枯渇期を耐え忍び、と思ったらいきなりの大量告知に溺れ、いよいよその供給が開始されるその朝に見た、いちイセクラの夢である。

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電飾に彩られた街。日が落ち始め、少し冷えてきた。手をさすりながら待っていると目の前に車が停まり、後部座席から撮影帰りの彼が降りて来た。

私を見つけると、コートのポケットに手を入れたまま小走りに近づいて、その柔らかなキャメルの生地でフワッと包んでくれた。

言葉を交わすでもなく、微笑みながら見下ろす彼と、その腕の中でクスクス笑う私。
ほんのり身体が暖まった頃、
「ひさしぶり」と、彼も笑った。

長い撮影期間を経て、ようやく彼の仕事の成果を見せてくれるらしい。話したくて、自慢したくてうずうずしているのがわかる。

まるでプレゼントを開ける前の子供みたいだ。彼がこんなに楽しそうに仕事について振り返るのは珍しい。ましてや、かなり上手くできた、なんて。

手を繋ぎ、早足の彼になかば引っ張られるようについて行く。子供のように話し続ける彼を見て、これまでの空白が埋まって行く嬉しさに、私の足も弾んでいく。白い吐息が、空中で重なり合う。と、彼はふと立ち止まり、空を見上げた。

「雪になりそうだ」


…つづく…?




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