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わかりやすい!漢方薬〜くすり箱にあると便利な漢方薬⑧加味逍遙散

個人的にも大好きな漢方薬「加味逍遙散」のご紹介です。

特に、30代~50代の女性では、ホルモンバランスが不安定になり、自律神経が乱れがちになり様々な不調が出てきやすくなります。

精神的に不安定になるのもその一つ。月経の前後で気分にムラが出たり、イライラしたりすることもあります。

イライラは、自分でコントロールしようと思ってもなかなか難しいのが現状です。なぜなら、我慢してしまうこと、コントロールしようとすることがよりいっそうのイライラを招いてしまうから。

漢方薬の手を借りるというのも一つの手段です。



加味逍遙散


加味逍遙散は、以前ご紹介した『柴胡』が入っている代表的な漢方薬。
『柴胡』は、自律神経調整のサポートしてくれる生薬でしたね。

『色々と不満が出てきて、気がつけばため息をついている』というような状態に良い漢方薬です。

気の流れを良くすると同時に、当帰・芍薬などの血を補う働きのある生薬も入っており、不眠などの睡眠トラブルや、月経トラブルにも使われます。


加味逍遙散の構成生薬


柴胡:肝の気の流れをよくして自律神経を整える
薄荷:鬱々とした状態を解消する
生姜:胃腸機能を高める
甘草:気を補う
白朮:気を補い、過剰な水湿を除く
茯苓:過剰な水湿を除き、精神を安定させる
当帰:血を補い、めぐりをよくする
芍薬:血を補い、張りつめた状態を和らげる
牡丹皮:熱をさます
山梔子:熱をさます

ここで、熱をさます牡丹皮と山梔子が入っているのがポイントです。
イライラするというときは、『頭に血が上る』という状態。いわゆる熱が体内に生まれてしまってそれが神経を逆撫でしているというイメージです。

加味逍遙散の中医学的な解説

柴胡・薄荷には、肝の気の流れを良くする働きがあります。

『肝』というのは、体の中の気血津液のめぐりをサポートする臓です。
この肝のはたらきが落ちて、流れが悪くなっている状態を『肝気鬱結(かんきうっけつ』と呼びます。

本来なら伸びやかに自由にめぐっているはずの肝の気がぎゅっと抑え込まれているような状態です。

この状態が続くと、やがて熱が生まれて神経を刺激し、イライラや不眠などの精神症状としても表れてきます。

加味逍遙散は、『血』を補いながら、このうっくつした状態を解きほぐし、元のめぐりの良い状態を取り戻すサポートをする漢方薬です。
熱を冷ます生薬によって、昂った神経を鎮めるはたらきも期待できます。


服用に適さない方


特にありません(局部に火照りを感じたり、のぼせることがある方にはより効果的です)

服用における注意点

5年以上服用を継続した場合には、稀に「腸間膜静脈硬化症」と言われる腸管粘膜の変性が起こる事が報告されています。(定期的な検査で発見可能)



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