いい加減、自分に保険をかけるのはやめようって話

 こんばんは。今日ね、物理を勉強していたんですよ。物理は高校生の頃から本当に苦手で、ほぼワーク暗記で挑んでいたような科目なので、真剣に取り組まなくてはと。でね、一年以上前から挑み続けている浮力に再び挑戦したんです。しかも今度はね、try itという家庭教師のトライさんの動画を見て。でも、再び負けました。惨敗でした。もうやめようかな。

 はのとです。初めまして。


 まず言いたいのが、チームニッポンの皆さん、団体パシュートで銀メダル、本当におめでとうございます。皆さんの姿に、私はとっても触発されました。心が動きました。


 私ね、夏季五輪よりも冬季五輪の方が好きなんですよ。自分がウィンタースポーツやってたからっていうのもあるんですけど、なんか冬季の方が夢中になっちゃうんですね。前回の平昌から熱が上がったんですけど、当時女子高生だった私は、授業中にクラスの一番前の真ん中の席で携帯の中継をつけて、近くのみんなでそれを見る、みたいなあほなこともしていました。

 スノーボードとかいろいろ派手でかっこいい競技はたくさんあるけど、私が一番惹かれたのは、スピードスケートでした。最初にそれを自覚したのは、確か女子500mの小平奈緒選手の金メダルを見た時だったような気がします。圧倒的な滑りでのメダル。その姿がかっこよくて、忘れられませんでした。

 そして、その熱のまま見た団体パシュート。高木姉妹が強い、というのはスポーツ全般に詳しい父から聞いていたので、その二人に期待していました。

 具体的なことは覚えていないけれど、決勝でオリンピックレコードを出しての金メダルを取った瞬間、「この瞬間は、永遠だ」というアナウンサーの興奮した実況は強く印象に残っています。

 そして日本のお家芸ともいえる、その美しい隊列。陸上のリレーでも良く言われるけれど、日本はこういう戦術系に長けているのかな。本当に綺麗で、個々の力が合わさっただけでなく、それらがもたらす相乗効果で掴んだ金メダル。個々人で見れば、決して最強とは言えないチームだけれど、チームとしての力は世界を圧倒しました。

 そしてその後で見たマススタート。新種目だったんだっけ。なんか面白いのに菜那が出るよ、って聞いてテレビの前陣取って見たマススタート。パシュートに出ていた佐藤綾乃選手も出ていたけれど、惜しくも転倒してしまって。そして高木菜那選手の出番。お姉ちゃんの方。

 報道では、マルチに活躍する妹の美帆選手が注目されることが多かった中で、私は競技外の菜那選手の無邪気な姿に惹かれ、マススタートは密かに期待していました。学校でも、「今日は菜那が出るから!絶対見てね!」とアピールしていたくらい。

 そして本番。なんと、やってくれましたよ。菜那選手。金メダルですから。本当に嬉しくて、当時仲良かったクラスのグループラインに送信しちゃいました。「高木菜那金!!!二つ目!!!!!」みたいな感じで。


 という四年前の振り返りに思っていたよりも尺を使ってしまった私。計画性のなさがバレる。


 そして今日ね。北京五輪で一番楽しみにしていたパシュートがありました。予選から見ていて、オリンピックレコードを出した日本チームと、コンマ三秒差で二位だったカナダ。しかも、三戦三勝。これはさすがに手強い。一筋縄ではいかないだろうなと。そう思いながら見守った準決勝。予想通り、決勝に進むことが決まった日本とカナダ。不安でいっぱいのまま、決勝へ。

 その直前でね、前回の平昌でパシュートのチームメイトだった菊池彩花選手がね、一人一人にメッセージを送っている場面があって。直接ではなくて、応援で、という感じだったけど、その時点で涙ぐむ菊池選手につられて、私もここで泣きそうになってしまった。でも、さすがにお門違いなので引っ込める。えらい、私。

 でもね、決勝の前にあった三位決定戦終わってすぐね、日本人選手たちがテレビに抜かれて、みんなで頑張ろうっていう雰囲気を見てしまったら、もう堪えていた涙が溢れそうになって。ここでも我慢する私。えらい。

 そしてついにスタートが切られます。まず出だしは順調。カナダはすごく強くて、特に後半の追い上げがすごすぎるチームという印象がありました。だから、前半の内に出来るだけ差を広げておく必要があります。一度抜かれたら終わりです。

 日本人選手たちは、美帆選手を筆頭に、かなりいい滑りを見せてくれました。差は縮まりつつあったけれど、それでもまだ日本が優勢です。頑張ってくれています。この時点でね、みんな、きっと自分の限界を超えた滑りをしていたような気がします。とにかく早くて、隊列も綺麗で、一生懸命で。

 ついに最後の一周になりました。まだ日本が優勢。差はかなり、というかもうほぼないくらいまで来ていたけれど、それでもまだ日本が勝っています。あとはもう、逃げ切れるかどうか。息も忘れてしまうくらい、私はただただ、彼女たちを信じて見つめていました。祈っていました。身体中に、きっと余計な力がたくさん入っていたでしょう。

 そしてついに、最後のカーブ。いい隊列を保ったまま、最後のカーブに入ります。相手もほぼ同じくらいの位置。でも、まだきっと逃げ切れる。もう少しだから。もう少し、頑張って。そう思ったその瞬間。

 思わず悲鳴を上げてしまいました。悲劇が起こった。そう、心が感じました。

 当然ですが、その間にカナダチームはゴール。オリンピックレコードと共に、金メダルを確定させました。


 遅れて帰ってきた菜那選手。それでも最後まで一生懸命滑り、見事ゴールしてくれました。その先には、一年間の内300日以上を共に過ごしてきた仲間たち。崩れるように、ただ慣性に従って滑る菜那選手の元に、妹の美帆選手がゆっくりと近づきます。何か言葉をかけるでもなく、ただ横に並んで、肩を抱きました。

 その後、佐藤選手や押切選手、そしてコーチたちも菜那選手の周りに集まり、みんなで円陣を組みます。大丈夫。大丈夫だから。そう言っているように、私には見えました。

 頭を抱えながら涙を流す菜那選手。静かに隣にただ座る妹の美帆選手。言葉はいりません。寄り添うことが、きっと彼女たちにとっての最善。菜那選手の気持ちは計り知れません。想像するだけで、心がとても痛く、苦しい思いです。でも、一番苦しいのは菜那選手自身。彼女を差し置いて、私が苦しむなんて、きっとお門違いなこと。


 フラワーセレモニーに現れた菜那選手を始め日本人選手たちの表情は、とても複雑なものでした。パシュートは、金メダルが期待されていた。本人たちも、金メダルを取ることを目指して練習してきた。金メダルと取ると、何度も強い意志を表していた。

 その結果の銀メダル。これも、私なんかでは決して分からない気持ちです。分かろうとすることすら、おこがましい。そう思えます。まだ、菜那選手と佐藤選手はマススタートを、美帆選手は1000mを残しています。気持ちの切り替えは、決して簡単なことではないでしょう。


 そんな彼女たちを、菜那選手を見て、私は自分の今までの怠惰を呪いました。私は高校の英語教員を目指しています。でも、私の学力では、到底簡単なことではありません。困難は、たくさんあるでしょう。多くの努力を、必要とするでしょう。

 だから私はいつも、「まあ高校の教採なんて、一発で受かる方がすごすぎるからさ。」「私頭悪いから、まあ五年以内に受かれたらいいかな。」「来年はフリータだな~。」なんて、自分に保険をかけ続けてきました。落ちたときにショックを受けないように。落ち込まないように。自分に保険をかけてきました。

 彼女たちみたいに、自分の夢を、目指すところを、強く断言してこなかったのです。そんな、自分の弱さを知りました。いや、今までも知っていたんです。分かっていました。そんな自分の弱さなんて。でもね、認めたくなかった。気付かないフリをしていた。その方が楽だからさ。その方が、自分が傷つかないから。

 でもさ、そんな生半可な気持ちで、いいの?言い訳ばっかり、保身ばっかりで、いいの?本当は、現役で先生になりたいんじゃないの?本当は、一生懸命頑張って、夢を掴みたいんじゃないの?

 そんなの当たり前じゃん。私、小学生の頃から先生になりたかったんだよ。そこら辺の人たちと、想いも覚悟も全然違う。先生になるために、ここまで人生生きてきたんじゃん。今の大学に進んで、教職課程に苦しみながらもなんとか耐えて、ここまで頑張ってきたんじゃん。

 だからさ、私も、もっと強く、強く宣言したい。菜那選手みたいに、強く強く。かっこよくなりたい。自分の夢にまっすぐで、見えないところでたくさん努力をして、周りをぎゃふんと言わせるような、強い人になりたい。


 憧れの菜那選手の涙が、私というちっぽけな人間の、生き方を変えました。変えてくれました。今までも、私は自分に保険をかけてばっかりだった。でも、今この瞬間、私は保険をかけることをやめます。自分の夢を、もっともっと強く主張していきます。そこに向かってまっすぐ、まっすぐに進んでいきます。

 ありがとう。菜那選手。そして、日本人選手、彼女たちを支える皆さん。日本チームの、素敵な絆を、優しさを、温かさを、見せてくれてありがとうございます。菜那選手。最後まで頑張ってゴールしてくれて、ありがとうございます。その強い姿が、私の憧れです。


 私は、絶対に、数か月後の教員採用試験に合格して、高校の先生になるぞ!!!!!!!!



    追記(2022.02.17)
    美帆選手、1000m金メダルおめでとうございます!!本当に本当に、ありがとうございました。パシュートを乗り越えての金メダル。5種目出ることでもすごいのに、4つもメダルを獲得。本当にたくさんの元気をもらいました。ありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?