二十一日

 マットレスで寝ると悪夢を見る。だったらちゃんとベッドで寝れば良いではないか…と思うのだが、見ない時もあるし、悪夢を見る前提でマットレスを使わないということにするなら、マットレスを置いている意味こそ無い。だからぐっすりちゃんと…ではなく、軽い仮眠程度に留めたいなら、やはりマットレスは活用すべきなのである。
 悪夢を見たのはマットレスのせいだけではないとも思う。相変わらず続いている咳と、腕のだるさのせいで上手く眠れなかったからだ。そしてこの日は、霊的な何かが作用して悪夢を見たのかも知れなかった。
 霊の存在を信じても信じていなくもない。しかしポルターガイストが起こったと、犬が飛んで知らせに来た。私の代わりにベッドで転寝をしていたのは彼だ。突然枕元の窓の、網戸が音を立てて開いたので驚いたのだろう。見に行くと半分以上動いていた。そして更に、ベッドの足元に敷いていた筈のヨガマットが消えていた。掃除が終わった後、確かに、階段の手摺に掛けていたそれを床に敷いたのだ。思い違いかと手摺を見に行ったら、やはり無かった。ベランダに干していたっけ?と思い直して見に行ったが、やはり無かった。ヨガマット…何処へ消えた?とベッドの下を覗くと、壁の端にぶつかっていた。ベッドの下にスライドして行ったらしい。犬を脅威させたポルターガイストは、網戸だけではなかったようだ。
 多分、霊の仕業ではない。物凄い風だったのだ。隣家は二階建てなので、うちの三階は遮るものがない。窓を開けていると、時に、強風に何もかもが煽られる。閉めておくには暑いし、家の中の風通しを出来るだけよくしておきたいという気持ちだけで、酷暑や極寒でない限り、大方家中の窓は開いている。
 ポルターガイストでなかったとしても、人のベッドの上でのびのびと寝ていた犬にとっては、恐ろしかったに違いない。
 今日は好天の行楽日和だと言っていたから、久しぶりにドッグランへ連れて行こうと思っていた。なのに午後から雲行きが怪しくなる。
 そして、ランに行く前に、三軒分の応募書類を用意し、ポストに投函する予定だった。なのに昨日の疲れが取れず、寝ても休めずで、ひたすらだらけてしまった。何とか作ったのは送付状だけ。
 ランは明日に延期。そして、行く前に、ポスティングにこぎつけなければならない。

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