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【観劇】2019年 博多座公演 舞台 「めんたいぴりり」〜未来永劫編〜

過去に観た舞台を振り返る…振り返り観劇レビューです☆


2019年4月。博多座へ博多華丸さん主演、東 憲司さん脚本・演出の舞台「めんたいぴりり」〜未来永劫編〜 を観てきました。

博多土産の定番、辛子明太子。その誕生を描いた川原健さん原作「明太子をつくった男」は反響を呼び後に映像化、2015年に舞台化され、2019年に待望の再上演となりました。

私はドラマ、映画、2015年の舞台とどちらも観ることができていませんでしたが評判は聞こえていたので!観たいと思っていたのです…。
さらに私の大ファンの川原和久さんもご出演☆とのことで博多座へ行ってきました。


★物語

物語は
博多華丸さん演じる主人公、海野俊之と、酒井美紀さん演じる妻の海野千代子が第二次世界大戦後、釜山から日本に引き揚げ博多で食料品店「ふくや」を営みながら釜山で食べた大切な思い出の味、明太子を再現しようと奮闘した夫妻の日常と、諦めなかった俊之の情熱と希望、そして二人を慕う人々との交流と未来への歩みを描く…というもので

出演は博多華丸さん、酒井美紀さん
大空ゆうひさん、相島一之さん、川原和久さん、藤吉久美子さん他
博多大吉(映像出演)さん、そして小松政夫さんという豪華俳優陣でした。


★泣けて泣けて

もしかしたら、いえ間違いなく第一幕から「泣かせる」演出だったと思いますが、ベッドの上で息絶えようとしている主人公がかすれた声で残った力を振り絞り、それまでを振り返るシーンの第一幕から、私はなんと泣いてしまいました(!)。

舞台始まりと同時に心を掴まれると、海野夫妻の境遇とまっすぐな人柄に途中でも物語のラストでも泣きました 。

ストーリー展開もセットももちろん
キャストの皆さんの博多弁も心地よかったです。


★お腹いっぱい食べられるということは平和であるということ


戦場で戦いに疲れた海野と仲間の兵士が
互いに励ましあいながら
美味いものを食べたいと話すシーンがありました。

海野は想像力を働かせて美味いものを「食べるごっこ」をさせます。
敗戦し、その後平和になってからも
あの戦場で一緒に「想像の美味い食べもの」を食べて亡くなった戦友たちの声は後に海野の支えとなります。


この戦場でのシーンはこの舞台のまさに根幹。
「お腹いっぱい食べられることは平和であること」
ということを笑いを入れながらも正面から伝えてくれました。


★千秋楽も気負いなく、そして台詞も心地よく

私が観た日は千秋楽で舞台の終わりを惜しむお客様がたくさんいました。
カーテンコールも暖かかったです。

でも華丸さんは冷静に最後まで、気負うことないよういつもと同じように
大切に演じようとしているように見えました。
さすが舞台の人ですね。

明太子が出来上がるまでを重ねて描かれる昭和のできごとを観ながら
客席で物語の中の人々の悲しみに泣いて喜びに笑っていたら、私も
私の手から離れてしまいそうになっていたたくさんの大切なものを思い出しました。

それから
今回の舞台では夫婦が主役の物語でよくある

夫が妻に
「お前は黙ってろ」とか
「女は引っ込んでろ」みたいなセリフがありませんでした。
この舞台の海野さんはそんな言葉を使いませんでした(私の記憶では)。

演出かもしれませんが
観終わったあとやっぱり気持ち良かったです。


先ほどのような台詞は、どの物語にもわりとよくあって
時代背景や演出の方の概念もあるのでしょうし
登場人物の性格や物語の展開上、あえて使ったり
無くせないこともあることもわかるのですが
女性としては(私だけかも?ですが)
どんなにいいお芝居でもそういうセリフは
棘となって残るんです。
女は目標を達成することはおろか
目標を持つことさえも許されないのかい?
とお芝居を観た後にため息がでたり…。

けれど今回の「めんたいぴりり」では、台詞も自然と入ってきて観劇後、
空の向こうの虹を見たような希望も見えました。


最後に繰り返しになりますが、博多華丸さんは本当に素敵なお芝居をされますね。これからも期待しています。
もちろん、川原さんも観れて良かったです笑。



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