最近の記事

魔法のカメラ(part1)

とある小さな町工場で社長が従業員に声をかけた。 「やあ山田くん、お母さんの具合はどうだね?」 「社長、お気遣いありがとうございます。 実はあまり経過がよくないんです。 最初は軽い胃腸不良かと思ったんですが、数ヶ月しても治らず心配で今度大きな病院に連れて行こうと思っています。」 「そうか、それは心配だな。 なにか困ったことがあったら私に声をかけてくれ。 できることなら何でもやるから。」 「ありがとうございます!」 「君も体を大切にしろよ。お母さん、お大事にな。

    • 僕は、僕だ(part4)

      外国での戦争に行っていた僕は、久しぶりにアメリカに帰ってきた。 といってもアラバマの田舎じゃなくてワシントンだ。 僕はこれから大統領と会うんだからね。 それに大統領から直接、勲章をもらえるらしい。 このことを母さんに言ったらすごく喜んでくれたんだ。 僕も母さんの声を聞いて元気が出たよ。 そして、いよいよ当日。 僕の他にも何人かの兵士が勲章をもらうみたいだ。 テレビもいっぱいきている。 あとから聞いたなんだけど、アメリカはますますこの戦争にお金を注ぎ込みたいみ

      • 僕は、僕だ(part3)

        軍病院に入院していた僕だけど、撃たれたお尻のケガは数ヶ月もすればなおってしまった。 病院にはいくつかの娯楽があった。 テレビとかボードゲームとかね。 あとは卓球台があったんだ。 するとピンポンをプレイしていた人が声をかけてくれた。 「一緒にやってみるかい? ひとつアドバイスをしてやるよ。 ピンポンでは絶対に小さなボールから目を離しちゃいけない。 絶対に目を離さないことだ」 僕は彼のいうとおりにボールから目を離さずにラケットを振ってみた。 すると僕にしっくり

        • エボラウイルスから村を守った話

          エボラウイルスから村を守った話 ある日、私のおじいちゃんは隣町まで買い物に出かけていた。 アフリカのどこにでもある市場で、おじいちゃんはコウモリのお肉を買ってきた。 おじいちゃんは家に帰ってくると、どこか気分が悪そうだった。 震えていたし、ものすごい熱が出ていた。 心配になった私は村のお医者さんを呼んできた。 「おじいちゃんの具合が悪いの!急いでうちに来てください」 お医者さんは聡明な女医さんだ。 「わかったわ、すぐに支度をしますからね」 お医者さんと一緒に

        魔法のカメラ(part1)

          僕は、僕だ(part2)

          戦争でゲリラ攻撃を受けて僕はものかげに隠れていた。 すると信頼するジャン中尉から指示が聞こえたんだ。 「全軍撤退!生き延びることだけを考えて撤退しろ!」 それを聞いた僕は全速力でその場を駆け出した。 走るのは僕の得意技だ。 どんなひとにも負けない特技なんだ。 僕は一目散の後ろの森の中に入り、銃弾がカラダの近くをかすめるような状況で走りに走った。 無我夢中で走った。 すると、小さな小川に突き当たった。 このとき僕はある考えがよぎった。 「あれ、バッパはどこ?

          僕は、僕だ(part2)

          僕は、僕だ

          ちょっとバスを待つ時間があるからおしゃべりしようよ。 僕はこれまでたくさんの面白い経験をしてきたんだ。 僕は生まれつき背骨がゆがんでいて、そのせいでうまく歩けなかったんだ。 だから、脚に強制具をつけて過ごしていた。 これがすごく重いんだ。 一歩一歩が大変なんだよ? でも母さんがいつも助けれくれたんだ。 僕は生まれてから僕の父さんを知らない。 けれど、僕には母さんがいる。 それだけで十分だったんだ。 路肩の排水溝に強制具が引っ掛かった時も母さんが一生懸命に僕

          僕は、僕だ

          決定力について

          決定力 僕はサッカーが好きなので、よくサッカーの試合を見るのだけど、この言葉を聞かない試合はない。 決定力とは試合を決定する力のこと。 勝ちか負けかを決定する力のことだ。 つまるところ、サッカーでいえば得点力である。 バスケットボールでも得点力であり、テニスでも得点力が決定力だ。 ゴルフだといかに短い回数でボールをホールに入れるかが決定力である。 これが仕事となると難しい。 何もすれば決定力になるのかが曖昧だ 定義してくれるレフェリーもいない けれど、

          決定力について

          パソコンへの愛着

          そろそろ私のパソコンにもお別れを告げる時期が来てしまいそうだ。 6年以上前に買ったMacBookを前に、私はそんなことを思った。 最近パソコンの動きが鈍くなってきた。 キビキビ動かなくなってきたのだ。 それもしょうがない。 技術は日進月歩だ。 すぐに次のOSが登場し、新しい機能が追加される。 新しい機能を充分に使いこなすためには新しいハードウェア(機械)が必要になる。 こうやってコンピュータのメーカーは日々儲けを増やしていくわけだ。 僕は学生時代に奮発してM

          パソコンへの愛着

          元気か、相棒

          よう、ウィル。 こうやって手紙を書くのは初めてだな。 なんだか気恥ずかしいもんだな。 俺たちもいい年になっちまった。 まさか俺に子供ができるなんて思っても見なかった。 子供ってのはなんでこんなに可愛いんだろうな。 仕事から疲れて帰ってきても子供の顔を見れば、一瞬で疲れがどこかに消えるんだ。 不思議なもんだ。 お前の得意な学問でこの謎を解き明かしてもらいたいね。 たまには久しぶりに地元に帰ってこいよな。 おまえを娘に紹介したいんだ。 父さんの相棒は世界一優

          元気か、相棒