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八首抄 令和6年2月号

広瀬美智子選


水光る岸辺へ行かう右の手を誰にも見えぬあなたにつなぎ

高田 香澄

セピア色の私のハートが明るんだ二千円分のギフトが当たる

髙間 照子

久びさに今日流し場のステンレス顔うつすまで磨きて足れり

藤峰 タケ子

オーロラの国より届く角封筒教へ子といふ白いかたまり

臼井 良夫

ありし日の金木犀は二度楽し咲き初むる香りと散り敷く彩と

谷脇 恵子

手を出せばずしり渡さるる子の鞄ほの温かく「お帰り」今日も

山内 可奈子

あき屋敷と淋しむなかれ終日を小鳥ら来鳴き熟柿ついばむ

吉田 和代

帰っても帰る場所ある吾に言う「おかえり」と言う優しい呪縛

渡邊 富紀子



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