もう何年も前のこと。 友人が「願いが叶う人形」が話題だと教えてくれた。 プレゼントでもらうと良いというその人形はエケコといい、南米ボリビアのお祭りで売られる縁起物なのだそう。 せっかくだからお互いに贈り合おうということになり、我が家にエケコおじさんがやってきた。 願い事はどうしよう。素敵な出会いが欲しいな。 そんなことをぼんやり考えながら、部屋に飾ったエケコおじさん。 その見た目がなんだかとても気に入ってしまい、追加でもう一つ購入した。 小さな部屋の片隅に置かれた二人の
大通りから小道に入って坂を下ると、昔懐かしい雰囲気を残した建物が見えてくる。 夕方が近づくとなんだか懐かしい香りがするその建物の正体は銭湯だ。 近辺に古い建物を素敵に改装したお店が並ぶ中、この銭湯は元の姿のまま、 まるで時間が止まっているようだ。 そして、みるからに熱い湯を提供しそうである。 いつか行ってみようと思いながら、感染病の蔓延や自身の妊娠といった事情が続き、引っ越して２年経った今もまだ行けていない。 この銭湯のファンは多いようで、開店待ちの人をよく見かける。
この街には決して派手ではない小さな商店街がある。 自宅を出て大通りを歩いていくと突如香ばしい香りが漂ってくる。 そこが商店街の入口だ。 香りの正体はたこ焼き。 一つ一つ丁寧に焼く姿から、店主のたこ焼きへの愛情がひしひしと伝わってくる。 出汁の香りが効いたふんわり柔らかいそのたこ焼きは、今では私の一番のお気に入りである。 商店街を少し歩くと、豆腐屋さんが見えてくる。 たくさんの豆腐が水に浮かぶ姿を見るだけで涼しくなる。 大豆の香りが強く、手作りならではのその豆腐のファンは
