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介護事業所における災害時の初動対応

介護事業所の管理職の方ならば、BCP(事業継続計画)という言葉を聞いたことがあるでしょう。

BCPは自然災害や感染症流行などの緊急事態の発生時において、事業を継続するための方策をまとめた資料です。
2021年の介護報酬改定により2024年4月1日までに策定することが義務付けられているため、今まさに策定している事業所もあることと思います。

生きるために介護サービスが欠かせない人や、介護事業所で働く職員を守るため、BCPは形式的に作成するのではなく、実用を考えて策定し、継続的に見直し更新する必要があります。

生死を分ける初動対応は、全員がいつでもできるようにしておく

BCPは災害が起きた後、数日~数週間の事業を継続するための方策を中心に策定します。
繰り返しますが、これはこれでとても大事。

一方、災害のなかでも、地震や火事といった「いつ起きるか分からない災害」に対して、生死を分けるのは初動対応です。
いつ起きるか分からないということは、管理者不在時に発生する可能性もあるということです。
管理者が不在で指示がなくても適切な対応ができるようにするために、マニュアルや訓練があります。

火災の場合、地震の場合、津波や豪雨による水害の場合、それぞれ対応は異なります。

細かいことを言えばキリがないのですが、誰もが対応できるようにするには簡潔な原則を全員に周知し、実践できるようにしておくことが必要です。

災害ごとの初動の原則

【火災】
1.初期消火&通報
2.初期消火に失敗したら避難開始

   ※エレベーターは絶対に禁止。エレベーターから火が全体に回る
3.避難は出火階から、次にそのすぐ上の階(直上階)
   ※火は上に向かって延びる

【地震】
1.揺れている間は自分の身を守る
2.揺れが収まったら、けが人がいないか確認する
3.建物倒壊の恐れがある場合は、屋外に避難

【水害】
1.水害ハザードマップを基に、事前に水害時の避難方法を決めておく
 ※低い建物なら近所の高台またはビル。避難経路や手段も決めておく
 ※高くて頑丈な建物ならば、屋外ではなく、なるべく高い階へ避難
2.屋外へ避難する時間の猶予がない場合には、消防に救助を要請し、とにかく上へ
 ※すでに浸水している場合、自力で高齢者が避難することは不可能

各事業所に設置しているマニュアルはもっと細かく書かれていると思いますが、何度も言うように「とっさの時に」「誰でも」行動できるようにしておくことが最も大切です。
これくらい簡潔にしておけば、おそらくほとんどの人は覚えられるし、マニュアルを見なくても対応もできるでしょう。

きちんと書類を整備することも大事なことですが、緊急時に誰でも正しく行動できるようにしておくことはもっと大切です。

上記の原則は僕のオリジナルですが、これで誰かの生命を守れるのなら、複製・加工など、自由に使っていただいて構いません。使用した際には、「使いました」と教えてもらえたらうれしいです。(無断でもOKです)


立崎直樹



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