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「叱る」ことは、本当に子どもたちのためなのか?

保育の現場でしばしば見受けられるのが、子どもの行動を正すために「叱る」という手段を用いることです。しかし、「この方法が、果たして本当に子どもたちのためなのか」と私は、常に疑問を感じています。

今回は、伝統的な教育観が後押ししているようにも思える「叱る」というアプローチについて、科学的エビデンス視点を入れて考えたいと思います。

1.「叱る」こと子どもの成長との関係性

叱ることで、大人が子どもの行動をコントロールし、「正しい」とされる道へ導くためにしばしば利用されているとすれば、子どもたちの成長に貢献していると言えるでしょうか?

叱ることには、短期的な効果はあるかもしれませんが、自律性や問題解決能力といった重要なスキルの長期的な発達を促すことはありません。


実際、叱ることには子どもの心理に負の影響を与えることが示されています。


心理学の研究によると、叱られることで子どもの自尊心が傷つき、不安や抑うつを感じやすくなることがあります。


また、叱ることによるストレスは脳の発達に悪影響を及ぼし、学習能力や社会的スキルの成長を阻害する可能性があります。

2.叱らない育児の効果


では、叱らない育児はどのような効果をもたらすのでしょうか?


叱らないアプローチは、子どもの問題行動を減少させるだけでなく、社会的能力や学業成績の向上にも寄与することが研究で明らかにされています。


子どもに自己決定の余地を与え、自主性を尊重することで、彼らは自己効力感を高め、社会的な挑戦への取り組みも活発になります。



たとえば、子どもがぐずったり、泣いたり、怒ったりする感情の表現は、自己表現の一形態です。これを単に叱ることで抑えるのではなく、正しい自己表現の方法を学び、感情のコントロールを養う機会と捉えるべきです。

これにより、子どもは自身で問題に立ち向かい、それを乗り越える力を育てることができます。

3.理想的なな関わり


理想的な関わり方としては、「導く」というアプローチが欠かせません。

子どもの意見や感情を尊重し、彼らの言葉に耳を傾けることで、子どもたちは自分で考え、行動する力を育てることができます。

このプロセスは、単に子どもの声に耳を傾けるだけでなく、彼らの関心事に注目し、適切なタイミングで支援を提供することを含みます。


子どもとの建設的な対話を通じて、彼らの自主性を促すことで、より健全な発達を支援し、保護者や教育者自身のストレスも軽減することができます。


叱るのではなく、子どもたちの成長を支えるパートナーになることで、教育のあり方も大きく変わっていくでしょう。

4.褒めることについて


最後に、褒めることについても触れておきたいと思います。


褒めることは子育てにおいて重要な役割を果たしますが、効果的な使い方が重要です。


子どもの具体的な行動や努力を認識し、それを褒めることで、内発的な動機付けを促進し、自己効力感を高めることができます。


しかし、褒めることに頼りすぎると、子どもは外部からの承認を求めがちになり、自分自身の判断力や自信を育てる機会を失う可能性があります。


適切なバランスで褒めることにより、子どもが内面から自己肯定感を育てるようサポートすることが重要です。

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