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Netflix「雪山の絆」のモデルとなった航空機事故のミュージアムに行ってきた

世界中で話題となっているNetflixの映画
「Society of the Snow」(邦題「雪山の絆」)。

実際に起きた航空機事故をもとにしたもので、Netflix全世界ランキングの非英語部門で三週連続トップ、今年のアカデミー賞では国際長編映画賞にノミネートされ役所広司主演の「PERFECT DAYS」と争う。

モンテビデオの街中にもポスターが

モデルとなったのは1972年に起きた「ウルグアイ空軍機571便遭難事故」。ウルグアイのラグビーチームを乗せた航空機がチリのサンティアゴに向かう途中にアンデス山脈に墜落、乗員乗客45人のうち16人が事故後72日間にわたって雪山の過酷な環境のもとで命をつなぎ、生還したという奇跡のような実話だ。

実はウルグアイにはこの事故についてのミュージアムがある。
場所は首都モンテビデオのCiudad vieja(旧市街)。

入場料は大人300ペソ(カード不可)。

入館チケット

中に入ると事故について説明したパネル、機体の一部、乗客の持ち物、実際の遭難時に使用したもの、などが展示されている(一部、複製や同型のものもあり)

乗客が持っていたカメラ
航空機のアンテナ これを使って救助の信号を飛ばそうとした
航空機のカーテン

ラグビーチームの学生が乗っていたので、ラグビー関係のグッズや学生証、エンブレムのようなものも多い。

乗客の遺品
遭難中に乗客が家族に書いた手紙

日本にゆかりのある展示物もある。
遭難中に彼らが聴いていたラジオについてはどこの製品かは不明だが、当時のウルグアイでは「SPICA」というブランドのトランジスタラジオが最も使われていたらしく、当時の製品が展示されていた。「SPICA]は大阪の三立電気という会社が製造し、海外に輸出していたらしい。

展示品の中で特に印象に残ったのは、72日間の遭難生活を支えた手作りのサバイバルグッズ。彼らは航空機の部品や衣服などを用いて道具を作り出していた。
「絶対に生き抜く」という意志が強く伝わって来た。

手製のサングラス 雪山の太陽光線から目を守った
雪から飲み水を作る道具
航空機のシート?で作った防寒具

平日の金曜日の昼に訪れたのだが来館者は多かった。
ミュージアムのスタッフが展示について来館者に直接説明する姿も見られた。事故から51年あまり、生存者はまだご存命でこのミュージアムを訪れたこともあるようだ。

私はウルグアイに来る前からこの事故のことは知っていた。ただ、彼らが決断した「究極の選択」のエピソードがあまりにも辛くて、これまでこのミュージアムを積極的に訪れようとは思っていなかった。
今回、行ってみて感じたのは、彼らが強い意志だけでなく極めて戦略的に「生き抜く」ための努力をしていた、ということ。
真っ先にクローズアップされがちな「究極の選択」も「生き抜く」ための大きな戦略の一部だったということだ。

解説はスペイン語と英語、残念ながら入場時に見せられる概要以外は日本語での説明はない。ただ、テーマ別に整然と展示されているのでとても見やすい。

何よりも映画を見た人には、一つ一つの展示物に秘められた物語が迫力をもって迫ってくると思う。


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