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バスの運転手が言った。「飛び降りてください」

夏と言えば「キャンプ」 ―― という事もないが、何度かキャンプをした思い出がある。



■コムケ湖に決定

中学の夏、「キャンプしよう」という事になった。言い出したのは多分に兄貴で、既に社会人だった兄は小さなテントを持っていた。

「どこに行く?」

選択肢はサロマ湖かコムケ湖か、紋別から少し北に行った沙留(さるる)の3か所があったが、「コムケ湖」となった。

高校卒業時の紋別市観光ガイドのページを切り取っておいた。


■北紋バスの中

当日、いつもの近所の仲間と、家の近くから「北紋バス」で「沼の上」方面に向かった。乗客は殆どいなかった。

目的地まで半分ほど近づいたころ、僕はバスの運転手さんの所に行って聞いた。「コムケ湖の入り口で停まりますか?」

すると、運転手から事務的な返事が返ってきた。
「いえ、停まりません」

「ええーっ、停まらないんですか!」
「停まりません。バス停はその先しばらく行った所になります」

「コムケ湖でキャンプするんですが、あの入り口で降ろしてもらえませんか?」

またもや、事務的な返事が返ってきた。
「バス停でないので停まることができません」

目指すキャンプ地は、その入り口から約2キロ歩かなくてはならない。それなのに、正規のバス停からそこまで戻ることになると、どれだけ歩くことになるのか…。僕は頼んだ。

「そこをなんとか…」
「バス停でないので停まることができませんので…」

運転手は間を置いた。

「…入り口近くになったら、徐行しますので飛び降りてください

えええー!!! でも、分かりました!

仕方ない。徐行してくれるだけでも有難い。

座席に戻った僕は、このことを皆に説明すると、全員の頭の中で、バスの徐行スピードと飛び降りるタイミング、そして、転び方のシミレーションが始まった。


やがて、バスがコムケ湖の入り口に近づくと、徐行を始めた。
僕たちは荷物を抱えてドアの前で準備した。多少のけがは仕方ないと心の準備をした。

果たして、バスは徐行からドアを開ける時が来ると、親切にも停止してくれたのだった!

どれだけホッとしたことか! 

運転手さんに「ありがとうございます!」と丁寧に頭を下げながら、バスのステップを噛みしめるようにして降りた。

入り口からキャンプ場に向かう。


■炊事

キャンプ場と言っても、水が出るのと簡易トイレがあるだけなので、食事の支度をするには、その辺の石や砂で竈(かまど)らしきものを作り、その辺の流木を燃やした。この頃出始めた固形燃料も持って行ったと思う。

火を起こす僕はジーパン姿。母は「ジーパンなんて不良が履くもんだよ」と言っていた。
飯だ、飯だ!

■余談だが…

上の写真で長靴を履いていることに気づいた。そう言えば、長靴の上を折って短くしていたっけ。また、中学時代は晴れの日でも「バンカラ気取りで」長ぐで登校していた時期があったことも思い出した。まったく、何をやっていたことか(笑)。

夏場は長靴を折って使う(笑)。

(まこと)

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