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ガバナーズ・アイランド

はじめに


1週間休んでしまいました。自分で課した制限でも破ってしまうと少し心苦しいですね。
先週何をしていたのかというと、5日ほどアメリカのニューヨークに家族旅行をしていました。受験、そしてコロナ禍で何年ぶりになるか分からない海外旅行で、気候も良く、忙しいながらも楽しい観光でした。
メトロポリタン美術館、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館、MOMA を駆け足で巡る美術尽くしの旅行の中でも、私が1番印象に残った場所をご紹介しようと思います。ガバナーズ島です。


ガバナーズ島とは


ガバナーズ島は大都市マンハッタンからフェリーでわずか7分で行ける距離にある島です。
総督の島(Governor's Island)とあるように、1960年代までアメリカ陸軍の駐屯地が置かれていた要塞のような島だったそう。2005年に公共利用のため開放されると、今では人気の観光地になりました。
アーティストが普段の制作環境とは異なる場に一定期間滞在し、作品制作やリサーチ活動を行うことを「アーティスト・イン・レジデンス」と呼びますが、この島はそれが最もさかんに行われている場所のようです。
5月から10月までは島が公開されており、ほぼ毎週末、様々な催し物が行われています。
建物はポツポツと建っているだけで、アメリカらしいだだっ広い緑の多い島でした。

現地で撮影した地図


見つけた経緯


ニューヨークに行けるとあって、前々から私は歴史的な名画を見るのも良いけど、現代の作家がどのようなメディア・アートを作り、展示しているのかを見てみたいと思っていました。ネットで調べているとHarvestworksというところが行っているメディア・アート系の展示が見つかりました。


ホームページを見ると、住所はソーホーにあるビルの中と書いてあります。
日本だと青山や原宿のような場所にある小さいギャラリーのようなものを想像し、ニューヨークでも屈指のお洒落な高級ブティックやレストラン街となっている、多くの買い物客で賑わうエリアの中の古い建築のビルを訪ねました。

実際行くと、どう見ても展示が行えるような広さではありません。一応チャイムを鳴らしてみても何の反応もありません。もし人がでてきて不審者だと思われたら大変でした…

その後ネットで調べ直すと、どうやらいった場所は単なる事務所で、展示自体はガバナーズ島というところで行っているということにようやく気がつきました。海外旅行にあるまじき下調べ不足が祟り、展示を見ることは不可能かと思いきや、ガバナーズ島はブルックリンやマンハッタンからフェリーですぐ行けるということが分かり、急遽行くことにしたのです。

 

見たもの

フェリーを待つ列に並んでいた時から感じていたのですが、ガバナーズ島に行く人の中には海外や遠方からの観光客はほとんど見られませんでした。平日だったこともありますが、いかにもニューヨークに暮らしている人々が訪れる都会のリゾート地という印象です。
背の高い西洋人や遠足の子供たちに混じってフェリーに乗り込み、現地民気分が味わえてとても楽しかったです。様々な文化が混じり合っていたニューヨークの他の観光地にはない「アメリカ感」が味わえるのもおすすめです。

到着!

マンハッタンのビル群から少し離れ、ついてまず目につくのはARTS Center という白い建物。ロウワー・マンハッタン・カルチュラル・カウンシルによって運営されているようです。この組織は、芸術家らと公務員や不動産関係者らをつなぎ、空きスペースの有効利用などを通じて地域振興を行っているそう。

ロウワー・マンハッタン・カルチュラル・カウンシル ジ・アーツ・センター・アット・ガバナーズ・アイランド


一階ではグループ展、2階ではDaniel Shieh という方の個展が行われていました。広い施設でアメリカの新進気鋭のアーティストのエネルギーを感じることができて大変有意義でした。

2階の様子

ARTS Center を出て、広い道を行きます。現地の人々は牧場やピクニックを楽しむのでしょうか、背の低い遅い自動車?に乗って、サングラスをして、大きな声で喋っています。ホテルがあった騒々しいタイムズスクエアとは全く違い、のどかな風景です。その前に訪れたセントラル・パークのような雰囲気でした。

途中にあった司令官のための建物。

しばらくすると西側のノーラン・パークに着きました。ここには黄色い小屋が、20棟近く並んでいて、それぞれ別の団体が管理し、展示を行っています。私達は時間がなかったため、Harvestworksの棟しか見られませんでしたが、他にも展示を行っている棟がいくつもあったり、外の広場にもオブジェが展示されていたりしました。
いつかこんな所で展示ができたら楽しいだろうなと思います。

お目当てのHarvestworksの棟には、古い建物の中の小さな部屋に1作品ずつメディア・アートの展示がされており、そのアンバランスさも魅力的に思いました。よく考えるのですが、真っ白で綺麗でいかにも最新の展示が行われそうな場所でメディア・アートを展示して何が面白いのでしょうか。
せっかくの技術はそれにそぐわない場所でこそ活かすことができるという私の考えに、このこぢんまりとした展示は良くそぐうものでした。

牡蠣の生態を再現した展示、スピーカーが部屋中に貼り付けられているサウンド・アート作品、VRで作られたゲームの中を体験する作品など、おそらくまだ若い、今を生きる作家たちの作品を見れたので満足でした。

3Dモデルで、展示されている部屋を完全に再現した作品。


行く予定もなく、それどころか存在自体知らなかったこの島ですが、事前に情報を得て行く観光よりもかえってワクワクしました。
もし5月から10月の間にニューヨークの方を訪れる予定があれば、時間もかからず行ける場所ですので観光されることをオススメします。

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