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インドの染めと織りにみんなが夢中だったころ

2023年8月某日
恋し、こがれたインドの染織-世界にはばたいた布たち-
畠中光享コレクション
大倉集古館


その昔、世界中でもインドだけが、木綿を美しい色で染める技術を持っていたんだそう。
宗主国だったイギリスを中心としたヨーロッパはもちろん、
インドネシア、タイ、ペルシャ、そして日本の人々を魅了したのだった。


●第1章 ヨーロッパに渡ったインド布とその展開
エキゾチックな捺染布・パランポールにグッとくる。当時の人たちもかなりグッときたみたい。
生命の樹、花、鳥獣、特に孔雀などのモチーフがエキゾチック感を高めている。
そして赤がとても効いている。
人の気持ちをアゲる色だからね!ほとんどすべての布に使われている。

インドのウールと言えば、カシミール。カシミヤのショール。
1枚織るのに3年。細かくて手織りだから。

そこで産業革命パワーを駆使して、イギリスでは「倣カシミールショール」なるものが誕生。模倣の倣。
織機を機械化して、インドを真似っこして大量生産。
まあ気持ちはわかるよ、なんとなく。
フランスではジャカール氏が織機を発明。複雑な模様のジャカード織はここから来てるんだね。
人々の欲望が新しい技術を生み出すのね。


●第2章 東南アジア、ペルシャ、日本へ渡ったインド布とその展開
更紗というとインドネシアのバティックのイメージが強かったけど、
インドネシア経由で日本に伝わったインドの捺染布がオリジナルだったんだ~

東南アジアの部族の長たちが、儀式用にインドの素敵な捺染布を欲しがった。
わかるよその気持ち。
シルクの絣・パトラも伝わる。富と吉祥の象徴。

日本に入ってきた更紗に大名や茶人も熱狂。
着物を仕立てたり、身の回りのファブリックに使っていたんだろうなあ。


●第3章 インド国内で使用された布
インドの宮廷や寺院で使われていたものは、金糸があしらわれていてゴージャス。
他に、小花や鳥の繰り返し模様がかわいいものも。今でもフツーに使えそう。


●地下1階
小ぶりな仏像が常設展示されているエリア。
その背景に結構キラキラな布が掛けられていて、いい感じのコラボになっている。
牛用掛布もキンキラ。さすが聖なる動物。


日本画家でインド美術研究者の畠中光享氏のコレクション。
きっとごく一部なんだろうな~と想像してみたり。
すべて写真撮影NGだったので、心に刻みつける~という気合いで観た。

個人的に、インドのブロックプリントのブラウスが好き。
木を彫りだして作った木版にインクをつけながら、何度も手で押して色を乗せていく。
っていう職人技とか、インクのかすれ具合の味とか、なんか好き。
色と柄の組み合わせが無限大なのもいい。
こないだ布から売ってる店を見つけて、少し買ってみた。
自分でも何か作ってみるつもり。

ということでインドの染織のスゴさを改めてかみしめたのだった。
「染め」に目が行きがちだけど、その前に「綿」を作って「織る」ところから手がけているのが強み。
そんなインドの布は、いまでも人々の生活に寄り添っていると思う。

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