見出し画像

柚木沙弥郎と苦楽をともにした仲間たち

2023年9月某日
柚木沙弥郎と仲間たち
日本橋高島屋


生誕100年イヤーの柚木さん。
日本民藝館をはじめ、いくつか展覧会が開催されている。
今回は高島屋。大阪を経て東京にやってきた。

柚木さんだけでなく切磋琢磨した友・仲間・師をフィーチャー。
陶芸家の武内晴二郎と舩木研兒。そして工芸家の鈴木繁男。
交流エピソードも併せて紹介されていて、心に沁みる。


●第1章 出会いとはじまり
-民藝との出会い-
・プチ民藝館なラインナップ

・芹沢銈介先生の型染カレンダー
のオリジナル。いいよね~柚木さんが染色を目指すきっかけになった作品。
ちなみに今年の私の部屋のカレンダー。卓上版を千代紙に貼りこんでアレンジしてる。

・琉球の黄色地の紅型
素敵。芹沢先生は初対面で紅型の裂を見せながら、丁寧にあれこれ説明してくれたんだとか。ほっこりするなあ。

・三河万歳衣装裂
柚木さんチョイス「私の一点@民藝館」。ほえ~
新春に家々を回って披露する祝福芸。だからめでたい鶴亀モチーフ。


-ひびきあう仲間たち-
・紅型風型染布
柚木さんの型染デビュー作。柳宗悦の目に叶い、民藝館所有となった。
すごく細かい。色合いがおもしろい。
さぞかし気合い入ってたんだろうなあ。「これからは染めをやっていくんだ!」っていう。

・注染幾何文布など
茶色地に黒の幾何文様。渋くてしゃれてる。そしてインフィニティーーー
柚木さんの幾何文様ってカクカクしてても温かみがあるんだな~息づかいが感じられるというか。

・武内晴二郎の黄釉流描角鉢など
うねうね模様に奥行きが感じられる。吸い込まれそうーーー
淡~い黄色が素敵。渋い色とのコントラストが効いてる。

・武内晴二郎について
大原美術館初代館長の次男。柚木さんが修行中に仲良くなって、ずっ友に。
戦争で左腕を失いながらも陶芸の道を進み、倉敷で窯を開いた。

・舩木研兒のスリップウェア
うさぎや鳥が活き活きとしてる。躍動感。描いてるときも勢いがあるんだろうなあ。
こちらはあったかみのある黄色が印象的。布志名焼特有の黄色。

・舩木研兒について
島根の布志名焼・舩木窯の5代目。
伝統的な釉薬を使いつつ、リーチ・ポタリーで修行してスリップウェアもモノにする。

二人の作品に共通しているのはなんかこう手に取ってみたくなる雰囲気というか。
手にしっくりくるんだろうなあ。日々使うことを考慮しているから。
実際柚木家の食卓では竹内と舩木の陶器が大活躍していた。
特集展示「柚木家の食卓」にて、再現されている。

・鈴木繁男
柳宗悦唯一の内弟子だった人。民藝スピリットをがっつり継承。
そのスピリットを柚木さんを始め、後輩たちに伝えた人。
赤が印象的な色絵もあり、渋い呉須もあったり。和紙に漆の手書きで文字をあしらったり。
来年早々、日本民藝館で彼をフィーチャーした展覧会が開催される予定。おもしろそう。観にいこ。


●第2章 生活を彩る色・かたち・もよう

めくるめく注染&型染の布。
自由な幾何文。色も形もいろいろ。
注染だと布を蛇腹に折って染めるから、一定の間隔で折り返す箇所がある。
その点を考慮しつつ、でもそんなにガチガチに合わせるでもなく、おおらかに柄が繰り返されていく。インフィニティーーー

展示ケースの関係で、高さに限りがあるのがちょっと残念ではあるけれど。
フルサイズで天上からいっぱいぶら下がってるのを、前に観ていて。あの展示方法はよかったなあ~

柚木さんの布は無国籍風というか。
前に書いかもだけど、最初に見たとき「北欧ぽい」とか「エスニック~」って感じた。
「メキシコの人」とか、いきなり異国風をぶっこんでくる感じ、好きよ。

親戚の方が柚木デザインの布でワンピースを仕立てている。
その気持ち、わかるわあ。私も柚木テキスタイルの服着たいもん!


●第3章 ひろめる ひろげる - 萌木会の活動

柚木さんの師・芹沢銈介を中心に結成された染色家団体「萌木会」。
浴衣や暖簾などテキスタイルをプロダクトに展開。カレンダーやカードなど紙ものも制作。
個人で活動するよりも協働すると、いろいろやりやすいってことでね。

燃えに燃えてた萌木会時代。
あの有名な、朱に黄色と緑の三彩の着物(型染むら雲三彩文着物)もこの時代のもの。
芹沢先生の、黄色地に沖縄の団扇模様の大胆なデザインの着物も(沖縄笠団扇文着物)。
立花長子という女性作家の作品がいい。蝶のモチーフがかわいい。


武内晴二郎と舩木研兒の陶器や鈴木繁男の作品は、民藝館で見ていて名前は知っていた。
けど柚木さんとの関係性は今回改めて知った。感慨深いわ~
萌木会も先生や仲間たちと切磋琢磨してた感じがぐっとくる。
いろんなことがあって、今の柚木さんがいるんだねえとしみじみ思った。
生誕100年イヤーおめでとうございます~と思っていたら、来月には101歳になる柚木さん。
とにかくのびのびと健やかでいてほしい!

会場の外では関連グッズ売場、そして日本各地から民藝関係の展示・販売が行われていて盛り上がっていた。結構な数のショップが出店してた。
なんか、心が潤う感じがするよねー手にとってみるだけでも。

物欲を満たすのもいいんだけど…民藝関連のフィルムアーカイブを放映していて、これがいい。
カナダ人のマーティ・グロス氏が、民藝の記録を未来にということで立ち上げたプロジェクトによるもの。
時間的にすべて見るのは難しいのだけれど、NHKで放送してくれないかな~

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?