《良心を持たない人たち》紹介⑦

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7.なにが良心の無い人をつくりあけるのか

サイコパスのタイプは人によって若干違うが、共通しているのは、目的のためなら何でもやってしまうということだ。
羞恥心など無く、目的のためなら手段を選ばない。

遺伝?

生まれか育ちか問題。
作者は両方と説く。
同じ遺伝子でも、育てられ方で行動思考は変わると。

僕の自論だが、先天的なものはサイコパスで、後天的のものをソシオパスという分け方をしている。本書はどちらもサイコパスと定義しているのだろうか。

とにかく研究によって解明するのは、現代の技術では困難だ。

脳の反応

脳を調べた。
サイコパスは大脳皮質の働きが違うらしい。
刺激に対する反応が他の人間より弱く、《愛》という連想と《椅子》という連想でも、サイコパスの脳は同じように
反応した。
人も生物も、物と変わらない扱いをしているのだろう。
浮気を軽々しくできるのは、女性を人間だとは思っておらず、ラブドールだと思っているのだろう。
愛や優しさといった感情を受け止めることができない脳を持っているのだとスタウト氏は語る。

愛を感じられない

愛という感情は、良心無くしては存在しない。
誰にも興味が無い。
三大欲求のみで生きて、承認欲求や超自我による欲求は欠落している。
生まれ持ったものである《性格》であるため、理解しようと思っても理解できないのだ。サイコパス本人は困らないため、理解する必要もないのだろうが。それはそれで幸せなのかもしれない。

ナルシシズムとの違い

サイコパスはナルシストと混同されがちだが、ナルシシズムは良心はある。無いのは共感能力だ。外からの反応を跳ね返して受け付けない。
ナルシストはサイコパスと違って精神的苦痛や罪悪感、良心の呵責を感じるため、自発的にセラピーを求めることがある。
ナルシストは愛を抱くイメージがあるだろう。バラを持って求愛しているような。
しかしサイコパスは愛そのものを抱かない。ロボットと言っても過言では無い。
人間の擬態をするロボット。僕らは演技をするだろう。やろうと思えばできるだろう。本心でそう思っていなくてもだ。愛想笑い、怒る演技、ノリツッコミ、プロレス…。
サイコパスにとって、人生は演劇なのかもしれない。

幼少期の虐待が原因?

結論から言うとまだ解明されていない。しかし、生まれ持った純粋悪要素を悪化させる要因にはなるとのこと。
児童がサイコパスだろうがなかろうが、幼児虐待をして悪い影響はあっても良い影響は無い。これだけは分かる。
ただ、家庭環境が良いサイコパスもいるし、家庭環境が悪い善良な人間もいるため、生まれつきの要素も確実にある。

愛着障害が原因?

愛着による最初のきずなは生後七ヶ月目までに築かれ、たいてい乳児は最初にふれあった相手への愛着をとおして、これらのだいじな能力を発達させていく。

愛着障害は後天的なものだ。
愛着障害を持つ人間は悲惨な末路を辿る。
事実乳幼児は、他者に触れ合ってもらえないと死亡するという事例がある。

愛着障害とサイコパスは性質が似ているらしい。
類似点は世界各地で認められており、スカンディナヴィアの精神医学会では、親と子の絆が不足していると《児童期の感情的欲求不満》が生まれるらしい。
しかし相違点もあり、サイコパスと違い愛着障害は人間関係で上手く立ち回れない。暴力的になるのだろう。敵意をむき出しにする。
僕はこれがソシオパスだと解釈している。

とにかくサイコパスは感情的分野の情報処理能力が不足しているとのこと。それ以外はまだよく分かっていない。

サイコパスに対する認識の変化

現代において《良心を持たない人間》というのはサイコパスと言われるが、古くから名称を変えて《良心を持たない人たち》は存在した。
イヌイット民族には《クンランゲタ》と呼ばれるサイコパスによく似た特徴を持つ《良心を持たない人たち》がいた。
彼らは嘘をついて人を騙し、大勢の女たちと性交するとのこと。
時代や国の文化や価値観によって《良心を持たない人たち》は目立ったり紛れ込んだりする。

クンランゲタという言葉をネットで調べても、あまり詳しく出てこなかった。
ただ、伊坂幸太郎氏の小説に出ているらしい。

リンク貼っときますね。



絆の東洋

アジアは個人主義ではなく、全体主義的な思想が強い。
《人に迷惑をかけてはいけない》というような教えをされるので、サイコパスの人間も、善悪の面ではなく、損得の面で行動を抑制するだろう。

兵士は天職

戦争において良心が欠けていることは何よりの武器だ。
人を殺めることに躊躇いが無いため、非常に優秀な戦士になれるだろう。
有名な戦国武将はサイコパスなのかもしれない。事実、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康といった三英傑レベルの武将は冷酷なエピソードが多かったりする。
サイコパスは時代によって障害にも才能にもなるのだ。


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