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性被害加害者は私と同じ女性でした

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私は体・心の性別、どちらも女性です。
恋愛対象は男性でした。
性被害を受けてからそういうものを一切受け付けなくなり、今の私に「恋愛対象」という考え方は存在しません。

少し遡っていただけると分かるかと思いますが私は「機能不全家族」で育ちました。
大家族だったため、否定される回数も多くて自己肯定感はマイナス以下。
のちに私に性的な行為を強要したのは私より年上で、私を全肯定してくれた女性でした。
褒められ慣れていない・愛され慣れていない私は性的な行為をされる恐怖や嫌悪感より彼女に捨てられたらまた1人になってしまうという恐怖心の方が強かったのです。
ここで「自業自得」と言われます。
「愛して欲しくて許していたのなら同罪だ」と。
私もずっとそう思って生きてきました。
でも性犯罪者はそういった部分につけこんでくるのだと知りました。
体を差し出してしまった後悔は変わりません。
だけど「自分だけが悪いと思う必要はない」という一つの考えに辿り着きました(まだまだ私自身はそんな風には思えませんがそれを頭に入れておくだけでいざという時に役に立つかもという感じです)

ジャニーズの件で「グルーミング」という言葉が話題になっていましたが私の場合もこのパターンに当てはまると考えています。
グルーミングとは「性的な目的を隠して子どもに接近し、信頼関係を築き手なずける行為」です。
主に男性がするものとか、ネット上で行われるとか…色々と定義はあるみたいですが「居場所を提供したり、理解者であるという信頼感を獲得した後に性被害に及ぶ」という点では自覚はなくても当てはまる方がたくさんいらっしゃると思います。
私の場合は母親が性的なことにすごく否定的だったため、被害に遭った年齢と性知識に大きく乖離がありました。
友人同士で性的な話になっても「ななしちゃんは分からないから聞かない方がいいよ~」という感じでした。
例えるなら体は大人なのに小学校で習う性知識くらいしかないというアンバランスさ。
そこにただただ手軽に性的な行為をしたいという人が付けこんでくるのです。
「年の離れた友達もいるし、年の差カップルだって上手くいくし、一方的に性行為を強要される経験ないよ」「嫌なら拒否すればいいじゃん」って方の方が世の中大多数なのでしょう。
それだできない人間がいるからこそ立場を利用した卑劣な性犯罪は起こってしまうのです。

そして未だに異性愛者が多い世の中。
「男が男に、女が女に手出すわけないじゃん」って思考もまだまだ根強く残っています。
性犯罪を犯す人はそれが目的なわけで、達成するためには年齢性別など問わないという輩がいるのをご存じですか?
私の場合、相手が女性だからと油断したパターンになるのでしょうが友人だと信じていた人にある日突然性行為を強要される---その恐怖と絶望感、虚無感・・・とにかく何とも言い表せない気持ちは当事者以外には分かりづらくて当たり前です。
だって経験したことがなく、また経験せずに生きていけるのならその方が絶対にいいのですから。
しかし性犯罪に限らず「それはありえないよね」という断定はとても危険です。
どんなに考えが及ばない、本当の本当に起こりえないことでも実際経験している人はいる可能性はゼロではないので。

世の中の人達がもっと「自分の物差し」以外に寛容になれるといいなと常々願っています。

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