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【詩】泥のように眠、れず

頭痛。溶解しない沈殿。
もう一生分眠ってしまって、僕は、眼を瞑る口実を見つけられない。
見ないことを選べず、ただ見ることしか出来ない光景を前に、夢を、いつか見ていたことを思い出しながら、
沈殿して往かない意識を、重々しく、頭の重さそのもののようにもたげている。
泥のように眠っても、眠っているから、泥のようであること、なにも気にしなくてよかったのに、眠りにつけなければ、ただ取り残されるのだ、存在、泥のようであること、その事実だけ。
✕✕✕✕     ✕✕   ✕
剣を、脳に刺されるような痛みを。
もうずっと、長いこと、逃げ惑っていたのに。
✕ ✕✕ 苦しみは、痛みに他ならない。

おなじとき、僕のなかで、幾つかの童話が、幻想よりも幻想になって、そういう破綻した物語が、知らないうちに夢ですらなくなっていた。
そうして、僕の脳裡からなにかが消失する側で、いつも白夜が笑っている。
憂鬱な、眠れない夜が懐かしく、僕は、この大きな星のなかで、ただの泥濘。
でも、痛覚のある泥濘は、なんだかもっと劣等種に思えて仕方がないね。

✕✕
 
ペン先が紙を切り裂いて。
 
ねえ、不死みたいに味気ない物語しか、きっと僕を救ってなんて、くれない。



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