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映画 「小さき麦の花」の感想

  映画「小さき麦の花」について、簡単に説明をした後、この映画の感想をのべてみます 

1 監督・出演者など


   監督、脚本、美術、編集 リー・ルイジュン(李睿珺)
   キャスト
    ヨーテイエ(有鉄)   ウー・レイリン(武仁林)
    クイイン(貴英)    ハイ・チン(海清)
    
   上記はホームページ https://moviola.jp/muginohana/# 
   から引用しました。

2 感想

2.1 驚いたこと


映画が始まり、画面に映し出される光景を見ていると、「これはいつの時代を描いているのだろう」と思った。しかし、これは紛れもなく現代の中国の農村の生活を描いたものである。そしてもうしばらく観ていると、高級車のBMWが登場してきた。主人公ヨウテイエのロバに引かれた荷車と比べると、あまりに対照的であることに驚いてしまった。

2.2 この映画のテーマは?


 大変地味な映画であり、扱っているテーマは、中国の北西地域の農村の貧しい夫婦の日常生活を詳しく描くと同時に、それにより、現代の中国社会の抱える農村の問題を明らかにすることだと思う。そして、この映画を観る人々に「これで良いのでしょうか?」と訴えているように思える。

2.3 印象に残った場面


夫のヨウテイエと妻のクイイン夫婦が、小麦とトウモロコシを植えて育てる場面が詳しく描かれている。実はこの二人は両方の実家から厄介払いされる形で、見合い結婚をさせられ夫婦になった。この夫婦は働き者であり、ヨウテイエは人が良く、いろんなことに利用されるが、頼まれたことを文句も言わずに黙々とこなしていく。観ていて、「利用されるのもほどがある」と言いたくなる。それでもこの二人は貧しいながらも、仲睦まじく暮らしていた。

ところが、この二人が空き家になった家に住んでいると、空き家を壊せば補償金がもらえるという理由で、住んでいる家を追い出された。そこで、この夫婦2人で日干し煉瓦を作ることから始め、苦労して手造りの我が家を建てた。しかし、この家も現代風のマンションに移り住むように強く説得されて、その家も取り壊されて追い払われた。

ヨウテイエは下見に行ったマンションの部屋を見て、「ここではロバは育てられない」とつぶやいた。この言葉は農民から生活の基盤である土地を奪うことに対する「叫び」に聞こえた。この「叫び」は期せずして、農民に対する政府の政策への抗議にも思える。

2.4 私が受けとめたメッセージ


ヨウテイエが映画の中でつぶやく「すべては土地から生まれ土から育つ」という言葉は、土地に生きる農民の基本的な考えであり哲学でもある。土地から切り離され都会に住む人々に対して、農民の心の底からの「訴え」でもあると思った。この地方出身の監督リー・ルイジュンは、この言葉をこの映画を観る人々に伝えたかったのだろう。

3 参考資料


   映画「小さき麦の花」の公式HP  https://moviola.jp/muginohana/# 
   監督リー・ルイジュンについては https://eiga.com/person/286777/


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